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百花繚乱~一日一作短編集~  作者: 飛鳥井 作太


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自惚れだとわかってはいるけれど(百合。幼馴染女子高生同士。朝子×星音)

ひとつ前の話の、朝子さんサイド。

 朝。

「おはよう」

 今日の星音《ほしね》は、いつもと違う髪形をしていた。

 右サイドが編み込みになっている。

 いつもよりすっきりとして、彼女の形の良い眼がはっきり見えた。

「……おはよう」

 私の視線に気が付いたのだろう。

「昨日、動画見てやってみたんだ」

 星音が自分の頭を指し、照れたように言った。

「ふぅん……」

 その様子に、胸が一つ高鳴った。

 付き合ってからは、いつもこうだ。

 星音が、新しい髪形に挑戦するとき。可愛く装うとき。

 ──もしかしたら、ほんの少しだけ、私《こちら》の為もあるのではないか。

 そんなことを、毎回思ってしまうのだ。

「いいんじゃないの」

 自分の自惚れを誤魔化すように、彼女の頭にぽんと一つ手を置いた。

 撫でたくなる気持ちを堪えながら。

 すると、星音が「ふふっ」と嬉しそうに微笑む。

 可愛い。自惚れを、肯定された気になった。困る。

 更に誤魔化すよう、とりあえず歩き出した。

 彼女もすぐ横に並ぶ。いつもよりはっきり見える横顔のラインを密かに堪能する。

「朝子もやってみる?」

「やらない」

「即答だなぁ」

「お前だから良いんだよ」

 そう言って、また頭に軽く一度だけ触れた。

 星音の頬が染まる。その様子も、普段よりよく見えた。

「……そう」

 本当に、新たな髪形の理由に僅かでもいいから『朝子《わたし》の為』が入っていればいい。

 馬鹿みたいな期待に、またも胸が高鳴った。



 次の日。

「……編み込み、止めたのか」

「あ、うん。今日は……その、朝子に頭、ちゃんと撫でて欲しくて」

「!?」

 ほら、期待がまた加速する。


 END.


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