トライアングル・マリナーラ(幼馴染と妹と兄)
こちら(https://ncode.syosetu.com/n9047lt/219/)の二人と、女の子のお兄ちゃんの幼馴染三人集合しました。
幼馴染と妹が付き合い始めた。
──聞いたときは、何か、一抹の寂しさが過ぎった。
上手く言えないが、三人の中の大事な……『味』みたいなものが、変わってしまう、あるいは消えてしまうんじゃないかと、そう思っていた。が。
「なあ、私、このマリナーラってやつ食べてみたい」
「うーん。でも俺、チーズが食いたいんよなあ」
土曜日の昼下がり。
何故か、俺の部屋で宅配ピザのメニューを見ている二人が居る。
……いや、デートせぇへんのかい。
「せやったら、チーズ乗ってる普通の奴とこれで二枚頼んだらええんとちゃう?」
「そうするかあ」
部屋の主である俺を置いて、さくさくと昼飯兼おやつが決まっていこうとしている。
「いやいやいや」
流石に俺は、間に割って入った。
「俺の意見も聞きぃや」
「お前、どうせマルゲリータやろ」
「そやけど」
「それやったら、期間限定で食べたいモン無いかチェックして、無かったらマルゲリータにすればええ」
「いや、俺は期間限定よりマルゲリータ食いたいわ」
「マリナーラも似たようなもんやん」
妹が、スマホの画面を勝手にタップし、マリナーラをカートに放り込んだ。
「ちゃうわ、チーズ無いやろ」
「別のピザのチーズ乗っけたら、口内調理でマルゲリータになるんちゃう?」
「なるか、あほ」
むちゃくちゃ言いよる。
俺の部屋で、三人でホラー映画を観よう、と言い出すくらいなのだから、やはりこの妹はめちゃくちゃだ。
そんなの、付き合う前と何ら変わらない休日だ。
「何か……」
「「?」」
俺の呟きに、二人が同時にこちらを見た。
同じ角度で首を傾げる。
付き合う前から、そうであったように。
けれど、その距離は若干、今の方が近い。ような。
「いや、何でもあらへん」
だからと言って、何でもなかった。三人の『味』は変わらない。本当に、驚くくらい。
「はよ決めて、映画観よ」
「けど、ええとこでピザ来そうやなあ」
史孝が、画面をタップする。マリナーラとマルゲリータで決定。嬉しい。
「ポテトも頼んでや。L。死ぬほど食おう」
俺も手を伸ばし、勝手に画面をスクロールした。
いつものように。
END.




