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百花繚乱~一日一作短編集~  作者: 飛鳥井 作太


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ご褒美ですよ(歳の差薔薇。菓子職人×元塾講師。トーリー×颯太)

 閉店作業を終え、店の二階……僕らの住居スペース……に上がる。

「「ただいま~」」

 ハモッた二人の声は、ぐったりと元気が無かった。

「今日は、つかれました……」

「お客さん、多かったね……途中からは、トーリーさんにもレジに入ってもらっちゃって」

 たまにある、店主含めた従業員総出での対応だった(と言っても三人しか居ないけど)。

 予約のお客さんが偶然続いて、そちらに僕がかかりきりになってしまった所為もある。

 何にせよ、忙しい日だった。

「けど、ありがたいことです」

 へにゃりと笑うトーリーさんの顔には、疲れもありつつ嬉しさも滲んでいた。

「そうですね」

 客商売は、お客さんが居てこそだから。忙しいのは大変だけど、やはりありがたくもあった。

 毎日こうだと、流石にちょっと参るけども。

 リビングまで入ったところで、

「颯太《そうた》さん」

 彼に呼び止められた。

 そちらを見れば、にこやかに腕を広げる彼が居る。

「ごほうびです」

 瞳には、きらきらとした光があった。疲労感漂う中でも、それはしっかりと輝いていて。

 僕は、ぽかんとしたあと、思わずくすりと笑ってしまう。

「そうですね」

 それから、彼の腕の中へと素直に身を寄せた。

「ちなみに、これは僕にとって?」

「いいえ、私にとってです」

 ぎゅ~~~~、という効果音がしそうなほど、優しくも強く抱き締められる。

 温かで甘やかな、トーリーさんの腕の中。

 ああ、好きだなあ、としみじみ思う。

「でも、颯太さんにとってもごほうびになっていれば、とってもさいわい」

 そう言いながら、彼は僕のおでこに唇を当てた。

 柔らかな感触に、僕の心はひととき疲れを忘れて喜びに浸る。

 まったく、彼には敵わない。

 眉を下げて笑った。

「そんなの、決まっているでしょう?」

 背伸びをして、トーリーさんの頬にキスをする。

 照れ臭いから、言葉にはなかなか出来ないけれど。

 少しでも、このキスで伝わるといい。

「ふふっ。……きまっているのも、とてもすてき」

 倖せそうににっこり笑った彼を見上げた。

 僕の頬も、ふわふわと緩む。

 好きだなあという気持ちが、更に胸を満たした。

 その気持ちのまま、彼の胸に甘えるよう頬を摺り寄せる。

「つかれましたが、今日もいい日です」

「……そうだね」

 僕がそう思えるのは、間違いなくあなたが居るから。

 この気持ちも届けとばかりに、抱き締める腕に力を込めた。


 END.


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