昔も一緒に見たねと、何故か言えなかった(片想い。幼馴染男女。女の子視点)
こちら『どうして今更と思うわけで(片想い。幼馴染。男女)』(https://ncode.syosetu.com/n9047lt/171/)『虎視眈々と、その席を』(https://ncode.syosetu.com/n9047lt/170/)の続き。女の子視点。じわじわ進んでいる。
夜のまちを彩る、期間限定のイルミネーション。
目を奪われて、「すごいすごい」と跳ねるように歩いていたら。
「……そんなはしゃいでたら転ぶで」
「!」
ぎゅ、と。手が、握られた。
年上の幼馴染の顔は、逆光でよく見えない。
不思議だ。
周りは、こんなにキラキラ輝いているのに。
「はぐれんよう、手ぇつないどこか」
「……うん」
人だって、たくさん居るのに。
彼の声だけが、鮮明に聞こえる。
「何か、ちっちゃい時以来やねぇ」
自分の鼓動に負けないよう、胸からせぐり上がって来る気持ちを悟られないよう、わざと、もっとはしゃいだ声を出した。
上機嫌な子どもの声。
「……せやな」
彼は、少し笑ったあと。
「大きゅうなったなあ」
しみじみと言った。
どんな顔をしていたのか、私は何故か見れずに、
「……うん」
と言って、俯いた。
繋いだ手が、ぽかぽかと温かくて。
ふいに少し泣きたくなった。
END.




