そんなところで恋が始まるなんて思わないだろ(片想い。幼馴染男女。女の子の兄視点)
出て来る幼馴染は、こちら『虎視眈々と、その席を』2026.8.1更新(https://ncode.syosetu.com/n9047lt/170/)の青年です。
自室にて。
幼馴染が、何かやべぇ。
俺は、隣でやたら嬉しそうにスマホを眺める奴を見ながら、ひっそりとため息を吐いた。
「お前……ニヤニヤして何見てん?」
スマホを覗けば、お昼寝中とおぼしき妹の寝顔。
つい、手が出た。
「いっっってぇ! 何すんねん!?」
「何すんねんちゃうわ、どアホ! お前、なに人の妹を盗撮しくさっとんねん!?」
「アホッ、何もしとらんわ!」
「盗撮しとるやろーが!」
「それは……そやけど」
そこは認めるけど、と幼馴染は極まり悪そうに呟いた。
「でも、誓って何もしとらん。盗撮以外」
「盗撮もアウトやろ。いくら家族みたいなもんでも」
俺は良き兄では決して無いが(寧ろ、良き見本に一切なってないところを鑑みるに、ダメ兄貴の部類に入るだろうが)、それでも妹を守ろうという気概だけはある。
「ほんで、何で亜樹の寝顔見て悦に入っとんのや?」
「そんなん……決まっとるやろ」
頬を染めて、そっぽを向く。……地味に止めて欲しい、その仕種。
大の男がやっても可愛ないし、何より嫌な予感がひしひしとする。
「亜樹に惚れとるからやん」
ほらあ。
俺は、心の中で言う。
ほらあ、やっぱりそうやん。
何が「ほら」やねんと自分でツッコみつつ。
「……いつから?」
「え? そやなあ、ファーストドキッは、亜樹が中学入る頃やな」
「うっわ、結構前やん」
えっぐ、本気やん……。
「そんなわけやから、よろしく頼むで、『お義兄ちゃん』?」
「やめろ、きっしょいわ!」
別に、幼馴染のことが嫌いとか、駄目な奴やと思ってるとか、そういうのは無い。
無いのだけれど。
「何か、釈然とせんわー」
「大丈夫や、亜樹は倖せにする」
「アホ、その前に告ってフラれろ」
「フラれへんよう、上手いこと固めとるところや」
妹には、まだまだ恋に恋するお年頃で居て欲しい、とちょっと思ってしまう。自分の、そんな難しい兄心を感じたのだった。
END.




