この痛みの特効薬は(同棲百合。充希×清風)
季節の変わり目の、雨が降る。
こういう日は、恋人の頭が痛む。
普段は薬で早々に抑え込んでいるが、今日はそれに失敗したらしい。
朝からずっとこめかみを押さえ、唸っている。
せっかくの休日に、可哀想だ。代わってあげたいが、そうもいかない。
あまりに辛そうな恋人に、『何かして欲しいことはあるか』と聞けば、膝枕を所望された。
もちろん、否やは無かった。
「すみません、充希。膝をお借りしちゃって」
「それは全然構わない。けど、逆に辛くないか? 大丈夫か?」
私の脚は筋肉質で、柔らかい方ではない。
首や肩が凝り頭痛が酷くなったらと心配したが、彼女は小さく笑って否定した。
「大丈夫ですよ。そろそろ薬も効くでしょうし。……それに」
すり、と。私の腹に彼女は頬ずりをする。
「……あなたの体温が、一等落ち着くんです」
ふう、と彼女が吐いた息は、辛そうな中にも何処か安心したような気配があった。
「痛みが少し、和らぐ気がします」
微かな微笑を浮かべ私を見上げる。
まったく。きつい状況の中でも、殺し文句を言って来るのだから。
「それは光栄だな」
私は照れた顔を見られないよう、そっと彼女の目元を手で覆った。
「ふふふ。……では、少しだけ、目を瞑りますね」
「ん。そのまま寝てしまってもいいから」
「はい。……重くなったら遠慮なく起こして下さい」
「わかった。おやすみ、清風」
しばらくして、彼女から寝息が聞こえ始める。
心地好い重みを感じながら。
どうか眠りの中にまで痛みが訪れないよう、祈りを込めて頭を撫でた。
END.




