触れる手とキスが、ただただ(百合。真顔系クール女子×ダイナマイトマッスルボディ高身長女子)
洗い物の途中。
のしっ、と。
「!」
背中に重みを感じた。
「大社ぉ?」
後ろから回された腕が、私の腰をしっかりと捕らえる。
「なに?」
「いや、それはこっちの科白なんですけどぉ」
「別に、ただ確認してるだけ」
「何の?」
「身体」
「どういうこと?」
彼女はそれ以上何も語らず、ただ私の身体に手を這わせていた。
と言っても、そこにあまり艶っぽい雰囲気は無く。
ペタペタとあちこち触って、本当に『確認』作業のようだった。
私もそれ以上はツッコまず、皿洗いの作業に戻る。
ざあざあと水を流し、食器の泡を落としていく。
その間も、彼女の手は、私の腹筋を数えるように動いたり、かと思えば上腕二頭筋をなぞったり、下胸を不思議といやらしくなく触れて行ったりなど、自由に動いていた。
彼女の頬が背中にくっついて、まるで私の心音をも確認しているかのようだった。
……何かあったのか、とは感じたけど、何も聞かなかった。
言いたければ言うだろうし。言いたくなければ言わないだろう。
大抵、後者のことが多い。
話くらいは聞くのにと少し寂しく思いながらも、しかし実際聞くだけで終わりそうだ。
こうして黙って好きに私の身体に触れて何かが落ち着くのなら、そっちの方がいいかも知れない、とも思う。
いや、本当に何かあったとか、凹んでいるとかなのかも、全然わからないからアレだけど。
「伽羅」
「なぁに」
すべての食器を洗い終え、水道を閉めた。
と同時に、大社の方へ向き直る。
彼女を見下ろせば、いつも通りの真顔が私を見上げていた。
……そこに多少の疲れが滲んで見えるのは、私の考え過ぎだろうか。
「伽羅」
もう一度私の名前を呼び、私の頬に手を伸ばす。
私は大人しくされるがまま、引き寄せられるがままに彼女とキスをした。
触れるだけのキスを一つ、二つ。最後に追いかけてもう一つキス。
間近で目が合う。
条件反射で、私は笑ってしまう。
だって、ねえ?
やっぱり嬉しいじゃない、恋人とキスするのってさ。
私の反応に、大社は微かに目を見開くと、
「伽羅」
すぐにその目元を柔らかく綻ばせた。
「なぁに」
もう一度答える。
「本当にお前は可愛いなあ」
脈絡もなく、突然しみじみとそう言われ、私は嬉しいやら照れ臭いやらで、口元を手で隠そうとした。
が、その手を取られ、もう一度、
「可愛いなあ」
としみじみ、それでいて今度は悪戯っぽく言われる。
「何なの」
「恋人を褒めちゃいけない理由でも?」
「無いねぇ」
「だろ?」
結局、彼女がどういう思惑で私に触れていたかは、わからなかったものの。
「伽羅」
声の調子が先程より元気になっていたし、また迫られたキスが嬉しくて、何でも良くなってしまった。
END.




