貴女の予定に入っていることが(百合。真面目×自由人)
ご飯のあと。洗い物を終えてリビングに戻ると、ミイさんが鼻歌を口遊みながらスマホを見ていた。
「ミイさん、ご機嫌ですね?」
「うん」
洗い物ついでに入れた番茶を差し出せば、彼女が笑顔で「ありがとう」と受け取る。にこっと目を細め、ニカッと口が弧を描くその笑みは、本当に可愛い。
隣に腰掛けつつ、その笑顔をしっかりと堪能した。
「十二月まで、行きたい展覧会が目白押しだから」
「なるほど」
「こうしてカレンダーにメモっとかないと。行きそびれたら大変」
「そうですね」
少し覗き見れば、カレンダーにたくさん印が付いている。恐らく展示の始まりから終わりまでをチェックしてあるのだろう。
印の色も複数あることから、言葉通り行きたい展覧会が多くあるのがわかった。
──そのうちいくつに自分は誘われるのか。他の人とも行くのだろうか。
などとつい考えてしまい、内心で苦笑する。
いけないいけない。独占欲が出て来た。
ミイさんには、常に好きにして欲しいのだ。
だからこんな欲は、胸の奥にひっそりとしまい直そう。
番茶と共に欲を飲み下していたら、パッと彼女がこちらを見た。
「メッセ送るから、興味あるやつ教えて。一緒に行こう」
「!」
ミイさんは、相変わらず楽しそうに目を細めたまま。
その笑顔と『一緒』の言葉に、胸がキュンと甘く鳴った。
「はい!」
選択を私にも委ねてくれる。貴女のその心遣いが、私はとても嬉しい。きっと、貴女は知らないでしょう。
「壁掛けカレンダーの方にも書いときましょうか」
「いいね。毎日見るから覚えとける」
「予定合わせるのもしやすいですしね」
ふふっとミイさんが笑う。
「楽しみだねぇ」
それはきっと、展覧会の内容についてが殆どだろうけど。
「はい、とても」
『私と』行くことに対しても何割かはあるのではないかと、自惚れたことをほんの少し、思ってしまった。
END.




