↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
182/219

戯れの止め時は(百合。幼馴染同士女子高生。朝子×星音)

 夏休みの登校日。

 終わると普段通り、二人で朝子の部屋へと帰った。

 初めはお菓子を食べながら喋ったり、互いに図書室で借りた本を読んだりして、いつも通り過ごしていたのだけれど。

 今、私たちはお互いをギュッと抱き締め合っていた。

 冷房は効いているものの、やはり熱い。柔らかさと同時に確かな形をしっかりと感じる。

 鼻先に朝子のシャンプーの香りが過ぎった。

 彼女の手が、私の頭を優しく撫でている。その感触と熱は、擽ったいような、心地好いような、不思議な感覚を私にもたらした。

(どうして、こんなことに)

 始まりは、ついさっきのこと。

「……星音ほしね

 本から顔を上げ、朝子が言った。

「抱き締めても?」

 私も本から顔を上げ、彼女を見た。首を傾げて問う。

「いま?」

「いま」

 即答だった。彼女の顔は真顔で、抱き締めるという行為を宣言する割に、まったく照れたところが無かった。

「いい、よ」

 それが少々不服だったので、ついつっけんどんな答え方をしてしまう。

 しかし朝子は、気にした風も無く。寧ろ、ふっと小さく笑い、嬉しそうにこちらへ腕を伸ばして来た。

 そうして、今。

 私たちは、互いを抱き締め合った状態で居る。

 正確には、足を投げ出し座っている朝子の、両脚の間に収まる形で私が抱き締められ、そして彼女を抱き締め返している状態だ。

 これは私が彼女に身を預けている、と言った方が正しいのかも知れない。

「……」

 朝子の手が、私の髪を梳いている。丁寧に、そっと。たまに指で毛先を遊ばせながら。

(これ、抱き締めてるというより)

 何を思い立ったか。彼女が、いきなり私の耳をんだ。

「ひゃっ」

 生温かい感触がして思わず身を竦めた私に、くつくつと朝子が楽しげに笑う。

(いじってるって言った方が正しくない?)

 悔しくて、やり返してやろうと口を開けた。

 が、いざ耳を前にすると気恥ずかしくなり。結局口を閉じ、頬へキスするに留めた。

 それでも擽ったかったのか、朝子も少し身を竦めた。

 ちょっと、満足。

(けど)

 こういう戯れは、何処が終わりなのだろう。

 ちら、と視界に入ったベッドにカッと身体が熱くなった。

(違う違う。期待とか、そういうんじゃないから)

 恥ずかしさを紛らわすように、私は朝子に強く抱き着いた。


 END.


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。