気持ち良い風が吹いた、あなたとイチャつきたい(百合。真顔系クール女子×ダイナマイトマッスルボディ高身長女子)
アイスが食べたくなったので、二人でコンビニまで夜のお散歩をする。
店では、ああだこうだ迷いつつも、それぞれ好きなものを買って。
そうして入り口から出た瞬間、風が吹いた。夏の終わりの、ほんの少し涼しくなったそれ。土と緑の、匂いを含んだもの。
「おー。良い風」
その風に吹かれ、大社が目を細めた。口角も僅かに上がっている。
(──あ)
「夜は、まだマシになって来たなー」
彼女のそんな穏やかな微笑みを見て、頬に熱が上った。
(好き、大好き)
こうやって急に『好き』がぶわっと溢れる瞬間がある。
日常の、何でもないときが多い。
それでいて「あ、いいな」って思うとき。
『好き』が胸の内から溢れて溢れて、止まらなくて。
「……大社」
ん? とこちらを見上げる彼女に、
「手、繋がん?」
駄目元で聞いてみる。
この『好き』を、どうにかして表に出したい、伝えたい。
「だめ」
「だめかー」
まあ基本、外ではこうだから、無理なのだけど。
大社は、クールな恥ずかしがり屋さんだから。外でのイチャつきは、気分が乗らない限り無いのだった。
ああもう。外での『好き』大爆発は、どう対処したらいいのだろう。
世の『外ではイチャつきません』勢は、どうしているのだろう。
未だに正解がわからない。
今日も教えて、インターネット。
……と思わずスマホを出したところで。
「イチャつくのは、帰ってアイス食べてからな」
大社が言った。
「……何でアイス食べてから?」
「だって今のお前の顔、反則だったから」
よく見れば、大社の頬がほんのりと色づいている。
「アイス、せっかく買ったのに食べないのは勿体ないっしょ」
ぐっとせり上がるこの気持ちは、
「アイスのが優先かよぉ」
「そりゃそうだろ。お前を可愛がるのは時間がかかるんだから」
「大社……」
今は堪えて、アイスのあと一気に解放してしまおう。
「……ほら、さくさく歩く」
「うん、早く帰ろ」
アイスとイチャイチャが、私たちを待っている。
END.




