↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
170/201

虎視眈々と、その席を(男女幼馴染。片想い)

『史兄ちゃん! 見て! セーラー服!』

 あ、やばいな。

 と思った。

 中学の制服が出来上がったのだ、と嬉しそうに見せてくるこいつ……幼馴染しんゆうの三つ下の妹。ある意味こいつも幼馴染だ……を見て。

 グッと腹の奥が熱くなるのを感じたから。

『おー。馬子にも衣裳やな』

『失礼なやっちゃな!』

『へえ、意味を知ってるとは、やるな』

『いやちゃんとは知らんけど。絶対ええ意味やないのはわかる!』

『知らんのかーい』

 その場は茶化して乗り切ったが、これはやばかった。

 子どもだ、妹だと、ずっと思っていたのに(何せ、家が繁盛している総菜屋で忙しく、俺は幼馴染かれらの家に預けられ、殆どの時間をそこで過ごしていたのだ)。

 制服を着た彼女からは、すでに『女性』の片鱗が感じられた。

 そしてその部分と、昔から知っている彼女らしさが合わさると、とんでもなく自分の心は揺れ動いてしまう。

 可愛くて、ドキドキして、……愛おしい。

 慈しむ、という言葉は分からなくても、体感で知っていた。

 そこに、ドンッと刺激的な感情が乗っかって来て、しばらくは混乱した。

 いやいや気のせいだろう、妹みたいなもんだろう。

 そう思って数年は、誤魔化し誤魔化し生きて来た。

 想いが起こっては、打ち消し。

 うっかりあちらの処理に使っては、罪悪感に打ちのめされ。

 そうしてある日。

 俺はすっかり、諦めた。

 こいつが好きだ。認めよう。

 だから。

 いつだって眺めることにしたし、周りにライバルが居ないかそれとなく見張ることにした。

 もともと近い距離を、更に近付けて。けれど、慎重に。

(必ず、手に入れる)

 もとから家族みたいに過ごして来たのだ。

 それが、本当にくっついたって構いやしないだろう。

「史兄ちゃん、それ、言うてたお店の新作? 兄ちゃんが考えたっていう」

「そう。まあ、食べや」

「ええやん、美味しそう」

 と、にっこり笑うその顔を。

 独り占め出来るまできっとあと少し。

 そう思って、今日も虎視眈々と彼女の隣を狙っていく。


 END.


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。