白いワンピースが踊る、そんなベタなシチュエーション(困ったことに嫌いじゃない)(バイト先男女)
こちら(https://ncode.syosetu.com/n9047lt/143/)のお兄ちゃん、デート当日。
「せんぱーい!」
待ち合わせ場所の駅ビル前。
向こうから、待ち合わせ相手がやって来た。
ふわふわ、ひらひらと。白いワンピースを踊らせながら。
シンプルかつ、まあ、その。
「……お、おう。何や、いつもとイメージちゃうな」
可愛い。
「やっぱり、ギャップ萌えは狙っていくべきかなと」
いつもの、クラシカルでありながら少しピエロを意識したような服装(配色とか。模様とか)とは違って、これはこれでまた良い。
……って、いやいや。何を考えてるんだ?
と焦った俺の目の前に、小さな旗がはためいた。
何処から出したんだ。
手品は通常運転か。
「手品は変わらんのやな」
「変わらないものもあると、安心するでしょう?」
小首を傾げ、真っ直ぐ俺を見上げる瞳。真っ黒なそれは、まるで吸い込まれそうなくらい深く澄んでいて……。
「そういうもんか?」
「そういうもんです」
慌てて、目を逸らす。
「さ!」
ぐいっと腕を引っ張られ、ギョッとした。
そう、ギョッと。
ドキッとでは、無い。
「行きましょ」
無い……はずだ。
「お、おう!」
こちらを見て笑う笑顔が、きらきらと光って見えた。
……いやいやいや。これは、きっと気のせい。
気のせいなのだ。
END.




