夢でも現実でも傍に居る(同棲百合。恋人と姪っ子と暮らす。※姪っ子出番無し)
深夜。ベッドを共にしている恋人が、まだ寝付かない。
サイドテーブルのライトは点けられたまま。
程良くうとうとしてきた私は、彼女に背を向けて本格的に眠りに入ろうとした。
ちょうどそのとき。
「……さーたぁん。クーラーの温度、下げちゃ駄目?」
間延びした彼女の声が、微睡から私を引き上げた。
目を開ければ、予想に反して部屋が暗い。先にライトを消したようだ。
「ああ? 今でも充分涼しいだろうが」
というか早く寝ろ。
「うん。そうなんだけどさ……」
ピッピッとリモコンの軽快な音がする。……人に聞いておきながら、勝手に下げてんな?
「おい」
文句を言おうと振り向きかけた。が。
まるで縋り付くように、ぎゅっと。
背中に抱き着かれ、未遂に終わる。
「こうすると、暑いでしょ? だから」
「……。昨日、寝れてないのか」
「寝れたよ? 寝れたけど」
彼女がごにょごにょと口ごもった。
先の答えは予想が付いたので、
「いや、いい。もう寝ろ」
遮った。
夏は暑い。この茹だるような熱が、彼女にとっての悪夢を……顔に残った火傷痕に関わる記憶を……呼び覚ますということを、私は既に知っていた。
「ごめんね、さーたん」
「寝ろ」
前に回された彼女の手を、ぎゅっと握り締めてやる。
本当は、振り向いて身体ごと抱き締めてやりたい。しかし、今は、こいつがそれを望んでいないようなので。
「……おやすみ、さーたん。夢に出て来てくれる?」
「あとで出演料払うなら」
「身体でいい? なんてね」
「身体は当然だろ」
「こわ。……てか、え、身体以外もあるってこと?」
「ほら、もう寝ろって」
「……うん。おやすみー。また夢でね」
「ん」
また夢で。
しばらくしてから聞こえて来た寝息に安堵し、こちらも目を瞑る。
……夢で逢えても、逢えなくても。
朝に思いきり甘やかし、昼には姪と二人で構い倒し、そして夜はしっかり私が愛してやろうとこっそり決めた。
END.




