かき氷で温まる(歳の差百合。年上×年下。どちらも成人済)
「ロイヤルミルクティーのかき氷なんてどう?」
「いいですね。あ、チャイティーもいいかも」
「あー、いい。エスプレッソも捨てがたい」
「それにチョコレートを添えたいです」
「いいね! あとは、みかんジャムとみかんジュース。三ケ日みかんの、あのちょっとお高めの」
「美味しそうです!」
桐子さんが、かき氷機を新しく買った。
今は、それでどんなかき氷を作るか、二人で思案中。
梅雨時。家の外は雨。
だけど気分は、青空の下、海の家でかき氷を選んでいるかのような、そんなわくわくとした気分だ。
「楽しいです」
「変わり種ばっかりだけどね~。でも、こういうのも良いよね」
敢えてシロップ系を挙げてないのは、きっと私の話を聞いたからだろう。
昔、一度だけ見たキッチンカーのかき氷屋さん。
ミルクティーやココア、珈琲、こだわりの果物ジュースを使ったかき氷屋さんで、私は食べてみたくて仕方なかった。
しかし、父も母もかき氷が好きではなく、そのとき私と同じ好みの兄は居なくて(確かお友達の家に遊びに行っていた)、泣く泣く諦めた……ということがあったのを、ふとお話したのだ。
それを聞いた桐子さんが、先日かき氷機を購入し(「買うかどうかちょうど悩んでたところでさ」と言っていたけれど)「飲み物系のかき氷を作ろう」と提案してくれて……今に至る。
「本当にありがとうございます、桐子さん」
「いいのいいの。私も食べてみたくなっちゃったから」
さて、まずはどれから試そっか?
そう笑う桐子さんは、本当に心から楽しそうで。
私の胸が、ぽかぽかと温まっていく。
氷の話をしているのに、と少し可笑しく、思わず「ふふっ」と噴き出した。
END.




