勝負下着になるかも、なんて(百合。幼馴染同士高校生。朝子×星音)
「朝子にも、好みの下着とかってある?」
ランジェリーショップで、いきなり星音が聞いて来た。
休日。
地元から離れたショッピングモールで。
「その、見る方の好み」
「……お前は何を聞いてるんだ?」
私は半眼で問い返す。
「お前が新しいブラジャーが欲しいって言うから入ったのに。何で私の好みを?」
しかも見る方を。
「だって」
星音が、眉を寄せ、口をもごもごさせながら目を伏せた。
「その、せっかくデートで立ち寄ったから。朝子の趣味に合わせた方がいいかなって。これからのこととか考えー……って、あの、期待してるとかではなくっ」
いいい一般的にっ、と頬を染めどもる彼女に、私は顔を覆う。
期待して良いのか悪いのかとか。
こいつが男と付き合う前に告白して良かったとか。
可愛さに自覚があるのか無いのか、無いんだろうなとか。
こういうことを悶々と考える己に呆れるとか。
そんなすべてを込めた、
「はー…………」
ため息が零れた。
「な、何」
「いや、何でも」
とりあえず、ちらっとでもこの仲の進展について考えていることがわかったのは、良いことかも知れない。
「……お前に似合ってるなら、何でもいい」
「適当だなあ」
「そういうお前はどうなんだ」
「ええ? 朝子は美人だし、スタイルも良いからなあ。何でも似合うよね。いいなあ」
さらっと衒いも無くそういうことを言えるところが、心憎い。可愛い。
しかも、特別褒めている意識も無いのだ。きっと。まったくこいつは、本当に。
「それに、その……」
星音が、また困ったように口ごもった。
「ちゃんと言え」
「そういうとき、気にする余裕なんて無さそうだなーとか」
思ったり、して……と呟く彼女に、再度ため息が零れる。
「……わかってるなら、いい」
「え、朝子も一緒ってこと?」
「言わなくていい」
そのあと、二人して恥ずかしいような逃げ出したいような、そんな気まずい空気になり。
結局、何も買わずに店を出た。
END.




