125/137
この手が貴女をつくっている(同棲百合)
「あの……お願いが」
「マッサージか」
「はい……」
月に一度。清風は、私にマッサージを頼んで来る。
「……今回も固いな」
「すみません……」
いつも肩も腰もバッキバキに凝っているから、申し訳なさそうな顔で言い出すのだが、私としては願ったり叶ったりだ(寧ろ、叶うならもっと頻繁にしたい)。
「最近、あんまり肩を回してないだろう」
「うーん。忘れてましたね……」
「食事前にするよう声がけするか」
「その方がいいかも知れません」
清風の身体のことを把握できるし。
「ちょっと痛いかも知れない」
「んっ、だいじょうぶ、です。……もっと」
ドキドキするような声を他人に聞かせなくて済むのが助かる。
心から助かる。
凝り固まった身体を、摩ったり、揺らしたり。ツボも押したりして、ほぐしていく。
身体の状態を、戻していく。
……私の、手で。
「はー……! すっきりしました」
「それは良かった」
「すみません、プロに無料で」
「構わない。ある意味、練習台でもあるから」
「あはは、どんどん使って下さいね」
彼女の身体が、自分の力によって健やかに保たれる。
その明るいような、暗いような喜びを、今月もしっかりと味わった。
END.




