末永く〇〇しろって、何て便利な(百合。クール系真顔女子×ダイナマイトマッスルボディ高身長女子。第三者視点)
久々に高校時代の友人たちと四人で会った。
目的は、お洒落なホテルのお高めビュッフェ。
みんな所謂よそゆきなんて着ちゃって、食と雰囲気を存分に味わうぞ、と意気込んで来た。
深い青を基調としたシックな店内の様子と、ずらりと並んだ和洋中の美しい料理たちに、我々のテンションは鰻登りだ。
久々だから、会話も盛り上がり、もちろんご飯も美味しくて。
笑い過ぎで苦しいのか、食べ過ぎで苦しいのか、わからないくらいだった。
四人のうち二人、大社と伽羅は、何と同棲中のラブラブカップルなのだけど、全然そういう素振りは無く。
あの頃と同じように、友人同士で馬鹿笑いしている感じだ。
何となく残念なような。不思議とホッとするような。
「おかえり、大社~」
「おかえりー」
何度目かのおかわりを終え、みんなのお皿には、もうほとんどデザートしか載っていない。
いよいよフィナーレだ。
「ただいまー」
一人遅れて帰って来た大社のお皿を見て、私は、おやと軽く目を見開いた。
「それ何?」
私が指したのは、丸いチョコトリュフに白い粉がかかったもの。
「これ? ココナッツトリュフ」
ココナッツ好きの彼女らしく、三つも取っていた。今も真顔だが、付き合いの長い私たちにはわかる。テンションがかなり上がっている。
「そんなんあったっけ?」
伽羅が問うた。私ともう一人の友人も同じように首を傾げる。
「私が行ったとき、ちょうど出て来たんよ」
「えー、いいなあ」
伽羅が、心底羨ましそうに言った。身長も高く、ガタイもいい伽羅だけど、そう言う素直な言動が妙に可愛らしく映る。ギャップ萌え、というのか。
でも、わかる。確かに、とっても美味しそうだ。
どうしよう。サッと取りに行っちゃおうかな。
伽羅も行く? と誘おうとしたそのとき。
「あ」
伽羅が大社に向かって口を開けた。
「ん」
大社は、それを見てトリュフを一つ、彼女の口へと運ぶ。
どちらも、何処までも普通の顔で。
私ともう一人は、ぽかんとそれを見つめてしまった。
私たちの視線に、二人がハッとなる。
顔を覆う大社に、気まずそうに俯く伽羅。心なしか、二人の耳が朱い。
そこで照れるなよ。こっちまで恥ずかしくなる。
「……へー。見せ付けてくんじゃーん」
恥ずかしさを誤魔化すように、敢えてツッコんでやる。
「ねー」
友人もそれに乗っかった。棒読みのヒューヒューを添えて。
「ちが、これは、つい、家での癖が」
大社の言い訳に、私たちの笑みがより生温いものとなる。
「ほほお、家ではいつもやってんだ」
「ああ、クソ」
友人のツッコミに、大社が悔しそうに前髪をクシャリとかき混ぜた。
いつもクールな彼女が見せるその様は、何というかちょっと小気味良い。
しかし。
何だろうな、この。
見せ付けやがってという軽い反発心と、それを越える倖せで良かったという安堵が、ないまぜごちゃまぜになった、この気持ち。
「ラブラブですなぁ~」
私のニヤついた揶揄いに、
「「ラブラブで悪いかよ」」
二人がハモる。私たちは顔を見合わせ、肩を竦ませるしかない。
悪い? いいえ、ちっとも。
でも、そう。何というか。
「「末永く爆発しろ」」
そう。これ。このないまぜになった気持ちを表す、一番ぴったりの言葉。
ネットスラングって意外と便利。
思わず口に出して言えば、
「日常会話で使うなよ」
と笑われ、そこから先はいつもの馬鹿なお喋り、馬鹿笑いに戻っていった。
こういうのも、うん。悪くなかった。
END.




