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君の望んだ平和だと良い(同棲百合。恋人と小学生の姪っ子と)

「美雨ちゃん、櫻子ちゃん、手、繋ごう?」

 コンビニから出てすぐ、姪の小牧がそんなことを言った。

 雨上がりの夜。

 まだそこいら中に水の匂いが漂っていた。

「いいよ~」

 美雨が、嬉しそうに差し出された手を握る。

 ぎゅ、と繋がれた手を見て、小牧も嬉しそうにはにかんだ。

「ほらほら、さーたんも」

「櫻子ちゃん」

「はいはい」

 小牧のもう片方の手を取り繋げば、二人して笑みを深める。

「さあ、帰ろうか」

「帰ったらおやつだ」

「そう、おやつタイム」

 コンビニの灯りが映し出す影は、三つ仲良く並んでいた。

(……一家団欒って感じだな)

 それは、とても平和な光景。

 小牧と話す美雨の横顔は、いつだって穏やかで、それでいて楽しそうだ。

(私はお前に、お前の望んだ時間を渡せてるか?)

 昔。

 初めて会った頃。

 お前は、薄っぺらな笑顔で「本物の一家団欒を見かけると、空を飛びたくなるね」と冗談めかして言っていた。

 冗談の体にした本気の言葉。

「あんまり食べ過ぎるなよ」

「「はぁい」」

 あまりに『家族』過ぎる私の言葉に、二人が揃って返事をする。

 彼女たちの声にも顔にも、あの薄ら寒い笑みや寂しさは浮かんでいない。

 そのことに私は心底、ほっとした。


 END.


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