困ったなと思いつつ嫌じゃないから困ってる(百合。真顔系クール女子×ダイナマイトマッスルボディ高身長女子)
大社は、あまり自分からスキンシップを仕掛けて来ない。
だからもっぱら、
「おーこそっ♡ お・ま・た・せ!」
私から仕掛ける。例えば今みたいに、後ろから抱き着いてみたり。
「こら、外だぞ、ここ」
私を引きはがす大社の手に、容赦は無い。
「へへへっ」
もちろん、引きはがされるの込みで抱き着いているので、全然構わない。
「まったく」
そして彼女もわかっているから、顔には笑みが浮かんでいる。
「遅かったな。レジ、混んでた?」
「うん。店員さん一人しか居なかった」
「あー。ちょっと運悪かったな」
「何か、そういう日ってあるよねー」
だから。
「っと、伽羅」
「!」
ちょっと油断してた。
彼女が私の腰に腕を回して引き寄せた瞬間、ドッと心臓が跳ね「ふぉっ?」と変な声を上げてしまった。
その声に、脇の通路から出て来た店員さんが、
「も、申し訳ございません!」
慌てて頭を下げた。
「いえいえ、こちらこそすみません」
「す、すみません……」
どうやらこの店員さんにぶつからないよう配慮してくれたらしい。ありがとう。
でも、これは予想外過ぎて。いや、よく考えたら身長差的に、腰の方が肩より捕まえやすいのはわかるかもだけど。いやいや、でもさ。
「よく前見ろよ、お前……って、めっちゃ顔朱いけど」
「そ、そんなの」
当たり前じゃん、と私が小さく呟くと、大社がニヤリと口角を上げる。
「さっきはそっちから抱き着いてきたのに?」
「だって、すぐ離されること前提だったし……」
普段はさっさと離れるくせに、私たちはまだ密着していた。
腕の力強さは変わらず、ねえもう何でって胸がずっとドキドキしている。
「お前、ホント仕掛けられると弱いよな」
そこがまたいいんだけど、と私の顔を覗き込み悪い笑顔で言う彼女に、
「性格悪いよ……」
と言いつつも全然気分を害していないのだから、困ったものだ。
「そんな私も好きだろ? ん?」
「いじわるが過ぎると嫌になるよ」
「ははは、じゃあやめるわ」
そうして離れていく体温に「勿体ない」とまでなるから本当にもう。
私には、困ったものだ。
END.




