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諦めない彼から貴女へ花束を(老女百合ップルと雑貨屋さんが見守る、社員さんの恋)

「~~~はー」

「どうした、景気の悪いため息吐いて」

「別に、何でもないです……」

 しょげながら椅子を片付けている社員に。

「……真実を知ったね」

「でも、残酷でも知っとかないといけないことだしね」

 老女二人は、顔を見合わせて苦笑した。

 そんな二人をちらと見て。

「……まだまだ、ああなる道のりは遠いなあ」

 彼はもう一つ、ため息を吐いた。

「待っていて下さいね!」

 脳裏に過ぎる、雑貨屋を覗く彼女の姿。


 彼は未だ、何も諦めちゃいない。


 ※


「この花を、『彼女』に」

 彼がそう言って、花束を持って現れるようになり早一ヶ月。

 私は、今日もその花をショーウィンドウに飾ってあげる。

 美しい白磁の花器に活け。

 『彼女』が熱視線を送っているらしいオルゴールの傍に置く。

 古いアンティークのオルゴールは、少々値が張った。

 だから、彼はお金を貯めると言った。

「貯めるまでは、便箋とか紅茶とか、こういう小さなお菓子しか買えないけど」

 それでも必ず商品を買うから、その代わりに、お取り置きと、持って来た花束を『彼女』に見えるよう飾って欲しいと言われ、私はそれを承諾した。

「……」

 私には、『彼女』は視えない。あのオルゴールを仕入れたときに、『曰く付き』と言われる所以を聞いただけ。

 それでも。

 彼の想いが届くといい、と願った。


 END.

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