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好きなのに、重ならない(百合。片想い。女子高生)

「わー、やっぱ綺麗だねぇ」

 波打ち際。彼女が声を上げ、笑っている。

 何の変哲もない、面白味もない、青い海に碧い空。磯くさい匂いですら。

 彼女が居れば、美しいものに錯覚出来た。

「好きだねぇ、海」

「うん!」

 にこにこ笑ったまま、彼女が頷く。

 なんて綺麗。なんて可愛い。

 ずっと見ていたい。一緒に居たい。

 大好きな、人。

「この島の海が好き。山が好き。この島が、本当に好きだよ」

 彼女が、しみじみ言う。

 それに私は、

「ほんと、島好きなんだから」

 呆れたため息しか返せなかった。

 だって、私は一秒でも早くここから出たい。

 ──出来るなら、彼女と一緒に。

「うん。ずっと、ここに居たいよ」

 しかしこんな何もない田舎を、彼女は愛しているという。

「本当に、卒業してもここに居るの」

 私の問いに、彼女は「当然」と笑った。

「先生たち、残念がるだろうね。アンタ、優秀だから」

「そうかなぁ。そうでもないと思うよ」

 彼女は、肩を竦める。

 ……周りの意見なんて何処吹く風。

「私も、残念だよ。一緒に学生ライフ送りたかったのに」

 冗談めかした本音にも、

「あはは。でもその代わり、私はずっとここに居るから」

 彼女は気付かず、ただただ笑うだけ。

「ここに帰ってくれば、いつでも会えるよ」

「……留守を任されてくれるのね」

「そう」

「ははは、任せた」

 だから私も、そのまま冗談で話を流していく。


 何で神様は、私と彼女の、本質的な好みを真逆にしたのだろう。

 決して交わらない私と彼女の道筋が、

「あ、魚が跳ねた」

「マジで?」

 ひたすら悲しく、それでも今離れることは考えられなかった。


 END.


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