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昔話が言うことには(百合。人間×雪女)

 私の恋人は雪女だ。

 妖怪って普通に居るんだなぁと感動したし、昔話通り、やはり別嬪さんだ。

 透き通るような白い肌。美しく澄んだ瞳。怜悧に見える相貌は、笑うとふわりとやわく綻び、愛らしい。

 一緒に暮らしていると、とても甲斐甲斐しく、働き者で、なるほど昔話もあながち絵空事ばかりではないのだなと思うのだが。

「どう? 涼しい?」

 キャミソールとホットパンツのみ身に着けた彼女が、私に抱き着いている。

 ぴたりと重なった肌はひんやりと冷たく、柔らかく、夏場の今、確かにとても心地好い。

 が。

「いやいや。アンタが暑いでしょ」

 相手は雪女だ。冷房の効いた室内とは言え、私の体温など、夏場に抱っこする猫か湯たんぽみたいなものじゃないのか。あるいはそれ以上か。

「アンタの身体に悪いよ。離れなよ」

 せっかくのお家のんびりデーで二人とも寛げるのに、これでは悪い。

「イヤ」

「何で」

「そんなの……」

 潤んだ瞳で、彼女が私を見上げて言った。

「いっぱい甘えたいからに決まってるでしょ?」

 ダメ? と小首まで傾げられちゃぁ断れない。だって可愛い。

 ぐう、と声にならない声が漏れた。

「……ちゃんとたびたび、離れるんだよ。水分も摂って」

 私の欲で、彼女を熱中症にしてはいけない。

「うん♡」

 いい笑顔を浮かべ、彼女は再び、ぴったり私にくっついた。

 柔らかひんやり気持ちがいい。

 ああもう、愛しい。可愛らしい。


 昔話には、ここまで雪女が甘えただなんて書いてなかった。

 けど、それでいい。

 こんなに可愛い存在は、人に知られちゃいけないのだ。


 END.


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