義妹が向けてくる好意がLikeかLoveかわからないからどう応えたらいいのかわからない件 7話
その後、着々と自己紹介が進んでいったのだが、一向に自分の名前は呼ばれない。
その分緊張は増していき、気づけば早く当たってほしいと、当初の思いとは真逆のことを願っていた。
そしてようやく、俺の名前が当たった。
「最後は出席番号十二番の人、お願いします」
俺が最後かよ……。
そう思うと、より緊張してきた。
それを押し殺して、はい、と返事をして立ち上がる。
「えー……く、久坂 慎です。部活は、写真部に入ってます。
好きなことは、本を読むこととか、です。
一年間、よろしくお願いします。」
「はい、ありがとうございました。これで全員終わりましたね?」
ヤバい、色々考えてたのに結局緊張してほとんど考えてたこと言えなかった……。
めっちゃ歯切れ悪いし……。
ま、まぁ、そこまで違和感は無かったはずだ!
多分大丈夫だろう……。
と、俺が思っていると、先生が「それでは、今日は明日のお知らせで終わりにしますか」と言い、何人かの生徒から喜びの声。
今日はこれで終わりか。
帰る前に寺宮を夕嬉に紹介しとかないとまた問題になりそうだな……。
そんなことを考えていると、「はい静かにー!」と先生が一声。
これで静かになるんだから不思議なものだ。
教室が静かになった所で、先生が明日の連絡事項を話し始めた。
「明日はまだ授業はありませんが、委員会など決めたり、教科書販売などがありますので、忘れないように。」
ちょうどその時、チャイムが鳴り響く。
先生も伝えるべきことは全て終わったというように、あっさりと、
「それでは解散ー!みんな、また明日ねー!」といい、自分が真っ先に教室から出ていった。
教室は、「一緒に帰ろう?」と、知り合いどうしが一緒に帰る約束をしたり、無言で荷物をまとめて、さっさと教室を出ていく生徒もいた。
「さて、俺も帰るか……」
俺が立ち上がると、後ろから「兄さん♪」と呼ばれた。
声からして上機嫌そうだ。
まぁ、まさかあの占いがここまで当たるとは俺も思わなかったよ……。
「ね、兄さん。帰りましょ?」
夕嬉は目を輝かせながら迫ってきた。
夕嬉の顔が近づいてくる。しかも笑顔で。
普通の生徒ならこれだけですぐ惚れるレベルだ。
実際、俺も可愛いと思うし。
「そ、そうだな。帰るか」
今日はこれといって用事もないし、帰ってゆっくりしよう。
そう決めて、教室から出ようとすると、急に左手をガシッと掴まれた。
急なことに驚いて振り向くと数人のクラスの男子生徒が笑顔でこっちを見ていた。
「久坂君、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
「あー……うん、わかった。」
俺は男子生徒に連れられ、夕嬉と出ようとした教室の出入口から教室の隅まで離された。
「あ、あのー、俺、早く帰りたいんですけど」
「「「久坂さんとはどんな関係だっ!」」」
「あー……」
多分こうなるだろうなぁ、とは思っていた。
一年生の頃にもこういうことはあったから。
一年生で部活の大会で活躍して、しかも美人となれば、当然注目される。
名字が一緒なだけならさほど珍しくはないのだが、夕嬉は学校でも家でも俺との話し方、距離感を変えていないため、他人から見るとカップルに見えるとかなんとか。
「久坂さんと一緒に帰るだとぉ……うらやましい!」
「っていうか、なんだよ名字が一緒って!」
「ま、まさか、もう入籍済み!?」
日本の法律で男はまだ結婚出来ませんって。
だが、こうやって思い込まれると、大体の場合は何を言っても通じず、面倒なのだ。
何故そう思うかというと……
「みんな!久坂は無実だ!」
俺はいつの間に被告人になっていたんだ、寺宮よ。
そう、寺宮が初めて俺にこの理由で突っかかってきた男である。
中学三年の時、両親再婚までに、ちょくちょく会っていたのだが、そこをコイツに見られていたらしい。
次の日、教室前の廊下で「あの女子はお前の彼女なのか!?」と、(大声で)言われたのだ。
あのときも、ことのあらましを説明してもまるで信じてもらえなかったのだ。
最終的に納得はしてくれたのだが。
それ以降、寺宮は今回のようなことに俺が巻き込まれていると、俺を助けてくれるのだ。
「無実ってどういうことだよ隊長!」
……?
「そうだぜ隊長!説明してくれ」
隊長?
……そうだ、確か寺宮は「久坂夕嬉親衛隊」とかいう集団のリーダーだったっけ……。
「いいか、よく聞け。久坂はな……久坂夕嬉さんの、義理の兄だ!」
「「「えええーーーー!!!???」」」
この下りも、もう十回目くらいだ。
寺宮があの集団のリーダーなので、彼らには説得力絶大だろう。
隊長として信頼はされているみたいだし。
「じゃあ、俺もう帰っていいよね?」
後は寺宮に任せればいいや……と思い、教室の出入口へ向かう。
「はい!さようなら御兄さん!」
「兄上!また明日です!」
「久坂の兄貴!ゆっくりお休み下さい!」
「ねぇそれやめて!本気でやめて恥ずかしいから!」
絶対にそれで呼ばないように、と念を押しまくって夕嬉と一緒に廊下に出た。
しかし、俺(達)の前に立ちはだかる者はまだいるのだった。




