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義妹が向けてくる好意がLikeかLoveかわからないからどう応えたらいいのかわからない件  5話 

遅くなりました

相変わらずぐだぐだして話がなかなか進みませんが、見守っていただけるとありがたいです。

読んでいただける皆様に感謝。

 「じゃあ兄さん、クラス楽しみにしてますね!」


 学校前にはそこそこの人数の生徒が登校してきていた。

 夕嬉はその中に一人で走っていった。

 おそらく友達をその中に見つけたのだろう。


 「なんで一緒のクラスになること前提なんだよ!」


 果たしてその言葉は届いたか否か。

 夕嬉は振り向かず昇降口に入っていった。

 その間、そこら辺の男子の視線を集めていたが……。


 「よっ、久坂!」


 いきなり背中を押され、少し前によろける。

 振り向くと、今のクラスの友人、寺宮(てらみや) 伸介(しんすけ)が笑っていた。


 「……おはよう、寺宮。」


 「なんだなんだ?テンション低いな?お前そんなに朝弱かったっけ?」


 寺宮とは中学からの友達で、知り合いが他に誰もいなかった今のクラスでは、寺宮と話せるだけで、他何人かの友達とも知り合った。

 コイツはそれほどまでに他人に積極的に関わっていくタイプで、他人に話しかけづらかった自分にとっては非常にありがたかった。

 しかも顔もいいときた……。

 女子といつも一緒にいそうなイメージを持たれがちだが、異性は少し苦手らしく、俺のように古い付き合いの男子と一緒にいることも多かった。(それでも女子の知り合いは多いらしい。)

 本人曰く地毛という、少し茶色がかった髪も、彼に似合っていた。

 このように、男子女子共に人気のある男だ。

 そういうところはすごく尊敬できるのだが……。


 「いやぁ、それにしても!今日も草加さんは可愛いんだろうな!美しい!美し過ぎる!」


 コイツは義妹の大ファンらしい。

 そういやコイツだったな。「久坂夕嬉親衛隊」とか言われるような集団作り出したの。

 学年でも人気のある寺宮が率先してこういうことをやるから、他の男子もそれに賛同、参加していった結果、かなり大きな集団になってしまった。

 行動力は認めるが、それをもう少し別の所に使えよ……。


 「それにしても、やっぱりにわかには信じられないなぁ。お前と久坂さんが義理の兄妹だなんてさ。」


 「いい加減認めろ。そもそも夕嬉とは中学別だったのに、お前が俺と夕嬉が一緒にいるのを見つけたせいで学校中に広まったんじゃないか。」


 「ああ?親友が女といるのを見つけりゃ、普通彼女作りやがった!って思うだろ!」


 「そ、そんなわけないだろ!そもそも俺は人と話すことすら難しいってのに!」


 親友……親友って呼んでくれた……。

 俺の中で寺宮の評価値がめちゃくちゃ上がった気がする。


 「まぁその後妹って知ってお前が彼女が出来ないのはシスコンだからって思ったけどな」


 前言撤回。

 殴りたくなってきた。

 その気持ちを抑え、寺宮と一緒に昇降口へと歩く。

 ふと、寺宮が聞いてきた。


 「そういや、お前の妹さんは?久坂さんは?」


 目をキラキラさせながら聞いてきやがった。

 まるで餌を待っている犬か何かのようだ。

 ……後から来ると言ってここに釘付けにしてやろうかな……。

 流石にそれは可哀想に思ったので、正直に寺宮に話した。


 「……先に学校に入っていったけど?」


俺がとりあえず答えると、寺宮はキラキラ輝かせていた目を一転、絶望感溢れる表情になって、


 「そんな……朝から久坂さんを見ることが出来なかった……なんて……」


 と、その場にへたりこんでしまった。

 アイドルの握手会とかコンサートに行けなかった人の心情ってこんな感じなのかな……。

 

 「バカなことやってないでさっさと行くぞ。HRに遅れるだろ」


 「うう……そんなぁ……」


 まだいじけている寺宮。


 「というか。いつもなら夕嬉はテニス部の朝練でもっと早く家出てるからこの時間に来ても絶対見つからないぞ」


 「な、なんだと!?だからか、いつも見かけないのは!」


 「お前ってそういうところ残念だよなぁ……」


 俺は寺宮を連れて校舎に入った。

 まずはHRなので、今まで通りの教室にひとまず向かう。

 


◆



 我が校は四階立ての校舎で、一年が四階、二年が三階と下がっていく。

 まず、一年の教室で、この前受けたテストの結果、答案、担任からの最後の言葉を受け取り、新クラスの発表が待っている。

 テストの受け取りは正直遠慮したいが、今日の俺は思ったことが全て反対に嫌な方向に働くらしい。

 覚悟を決めて教室に向かう。

 階段を上がりきり、一年間お世話になった教室に入る。

 勿論、寺宮も一緒だ。

 既に教室には何人もの生徒がいて、皆思い思いの相手と話していたり、スマホを触っていたりと様々だ。

 この仲間達とも今日でお別れか……少し寂しいな。

 そんなことを考え、少しだけしんみりした気分になっていると。


 「なにしんみりしてるんだ?どうせ今のクラスに喋れる相手もほとんどいないくせに」


 「少し黙ってろ」


 寺宮ぁ……!余計なことを……!

 まぁ寺宮がこんな感じでかまってくるのはいつものことなので、俺はひとまず自分の席に着く。

 

 ……着きたいんだが。

 一人の女子生徒が俺の机に座っている。


 「……なぁ、尾村(おむら)。そこ俺の机だからどいてくれないか」


 「私がここからどいたら、ここに残った私の匂いでも嗅ぐつもりね、この変態!」


 「お前が勝手に座ってたおかげで俺が変態呼ばわりされるのは理不尽過ぎやしないか」


 尾村(おむら) 憧花(しょうか)、今日まで俺のクラスメイトであり、寺宮よりも昔から知り合っている(この学校では)唯一の存在。

 昔からの縁だろうか、寺宮以外とは友達と呼べる生徒がほとんどいないこのクラスで、女子で唯一話しかけ、話しかけられる生徒だ。

 本人曰く背が伸び悩んでいるのが悩みというが、その悩みも男子から見れば可愛い要因。

 長い髪をそのままおろして、少しでも大人っぽさを出そうとしているが、背と大人っぽさのギャップがいいと、これまた男子の視線を集めていた。

 

 「……なによ、今なにか変なこと考えてなかった?」


 「安心しろ、変なことではないから」


 「何か考えてるんじゃないの!」


 机の上で尾村がなにか言ってるが無視だ無視。

 コイツにツッコむとキリがない。

 俺は自分の椅子の上に荷物を置くと、尾村を置いて寺宮の席に向かった。

 

 「おーい、寺宮。ちょっと」


 尾村は俺を追いかけてきていたが、寺宮に話しかけると突然こっちに近づくのを止め、仕方なさ気に女子の友達と話に行った。

 なんだアイツ……。


 「おい、久坂。なんだ俺に用か?」


 とてもじゃないが尾村を追い払うために話しかけたとは言いづらいので、適当な話題を振る。


 「あーいや……今日の新クラスの話だよ」


 「新クラスかぁ……。出来れば今のクラスの知り合いがいてくれれば助かるんだが。」


 「それは俺も同じだよ。」


 「だよなぁ。お前俺以外と話してるとこあんま見ないし。見ると言ったら尾村くらいか」


 ……ヤバい、話すことがなくなった。

 話すことが無くなると席に戻るのが自然。

 だが、席に着いたらさっきの会話の流れ的に尾村にまたからかわれかねない。

 ……いや、俺の被害妄想か……?

 寺宮が食いついてきそうな話題、かぁ……。

 ………………あ、わかった。


 「なぁ寺宮。もし久坂夕嬉と同じクラスになったらどうする?」


 「俺は死んでも構わん」


 「死んだら同じクラスになった意味ないと思うけどな?」


 相変わらず安定のいつもの寺宮だ。

 実際に同じクラスになればコイツは何をしでかすかわからないから怖いな……。


 「久坂さんと同じクラスで一年間……!ヤバい、考えただけで俺は……!」


 「そこまでにしとけ。周りの奴ら引いてるぞ」


 女子はもちろん、男子も引かせるとは相当だ。

 寺宮の暴走を抑えつつ、時計を見るとHRが始まる時間だった。

 ちょうどチャイムが鳴り、そこでようやく寺宮も正気になったらしい。

 

 「お、もう時間か。久坂、お互い同じクラスになれるよう祈っとこうぜ」


 「おう」


 先生が教室に入ってきて、一年生の教室で行う最後のHRが始まった。


◆


 テストも全部帰ってきて、ついに最後の担任の先生からの言葉。


 「一年間、あなた達を担任出来て本当によかったと思っています。

 誰も大きな問題を起こさず、成績も優秀。

 私が担当するにはもったいないクラスだと思いました」


 みんな先生の最後の言葉に耳を傾けている。

 中には目尻を拭っている生徒もいた。


 「皆さん、二年生になったら勉強も難しくなるし、高校生活の中で最も重要になる年です。

 頑張って下さい!」


 起立、気をつけ、礼。


 「「「「「ありがとうございました!」」」」」


 教室に、各々がどこのクラスになったかのプリントが貼り出された。

 えっと俺は……二年二組か。

 ついでに寺宮のクラスも見てみる。

 二年二組だった。

 同じクラスだ、やったぜ!


 「寺宮……理想通りだった。お前も、俺も二組」


 「マジか!やったな久坂!」


 「ああ、俺も嬉しいよ」


 だが、もし知らない人ばかりのクラスに入れられても数日後には友達を作っているのが寺宮という男だ。

 俺は上手く友達を作れないので、寺宮に頼ることになりそうだな……。


 「行こうぜ久坂~」


 「ああ、今行く。」


 俺たちは新クラスの教室へと向かう。

 心にかすかな期待と、占いの結果という嫌な予感を抱き、階段を下りる。

 たった一階の違いなのに、空気は段違いに思えた。

 これが高校のプレッシャーか……。

 特に二年生といえば、高校生活でも重要な年だ。

 思わず冷や汗を流す。

 果たして俺はクラスメイトと仲良く切磋琢磨し、これからの一年を乗り越えられるんだろうか。

 

 「じゃあ、久坂。仲のいい友達作れるよう頑張ろうぜ」


 「ありがとう寺宮。そっちもな」


 二組の教室へと、俺達は足を踏み入れた。


 まず俺はこの教室内に、寺宮以外に見知った顔がいないか確認する。

 ……残念ながら、いないな……。

 ま、まだ来てないだけかもしれん!希望を捨てるな俺!


 俺は自分を励まし、前の黒板に貼られていた、席と出席番号を示したプリントを見る。

 十二番……。なんとなく微妙な数字だなと思ったが、同時にそれも自分らしいなと思った。

 とりあえず、自分の席に荷物を置き、机に突っ伏した。


 ああ……これは多分、今年は駄目なやつだ……。

 最終的には、夕嬉の言ってた通りの結果になっている。

 占いって、馬鹿に出来ないんだな……。

 まぁ、寺宮がいるだけマシだが。


 はぁ~、と大きなため息がこぼれる。

 これから知り合いがいないクラスで一年間……。

 想像しただけで苦境だ。


 そんな時、頭を指で軽く叩かれた。

 なんだよ、と顔を上げる。

 そこにいたのは……尾村だった。


 「なんだ、お前も二組なのか……?」


 「ええ、そうよ。アンタとなんか不本意だけどね」


 こいつ……。

 俺のメンタルが削られてるのわかって言ってやがるな……。

 

 「と、ところでアンタに聞きたいんだけど……?」


 「なんだよもう……。」


 何故か若干顔が赤くなってる気がする。

 大丈夫か尾村。

 保健室行ってこいよ。

 ま、まさか尾村、俺に気があるのか……!?

 心のなかでそんなことを思っていると、


 「て、寺宮君は何組なの?アンタ仲いいんだから知ってるでしょ?」


 「……お前、同じクラスだったんだから前に全員のクラス貼り出されてたの見てただろ。あのなかに寺宮のクラスも書いてあったじゃないか」


 「み、見るの忘れたのよ……!いいから教えなさい!」


 何故か顔を赤くして反論してくる。

 このまま若干からかいたい所ではあるが、コイツにそれをやると後で怖いからな……。

 仕方ないと思い、教えてやった。


 「とりあえず後ろを見ろ」


 それを聞くと、尾村は訝しげに後ろを振り向く。

 ちょうど寺宮が他の男子と窓際の席で話していた。

 多分知り合いなのだろう、話が盛り上がっているのが見てわかる。

 それを見ると尾村は、勢いよく視線を俺の方に戻した。

 どうしたのかと聞こうとすると、小声で「やった!」と言いながら小さくガッツポーズをとっていた。

 尾村は寺宮に気があるのか?

 それなら寺宮のクラスを聞いてきたのも納得だが。

 ……べ、別に悔しくはないぞ!


 「ありがとね、久坂」


 寺宮が同じクラスだとわかって上機嫌なようだ。

 笑顔を浮かべながら俺に礼を言ってきた。

 いつもならこういうことは滅多にないので、貴重なものを見ている感じだ。

 俺は礼に応える。


 「どういたしまして。その代わり、今年も一年間よろしく頼むぞ?」


 「必要最低限ならよろしくしてあげてもいいわよ」


 そう言って尾村は俺の席から離れていった。

 あいつ……結局最後に毒吐いてったな……。

 だが、その足取りが見るからに嬉しそうに見えるのは俺だけか。

 尾村の恋が実るよう、少しだけ俺も応援することにしよう。

 だがその後、誰とも話すことも特になく、また俺は机に突っ伏していた。

 自己紹介とか苦痛でしかないが、もういいから始まってくれ……。

 その時、後ろからつつかれた気がした。

 いや、気がしたというか、つっつかれてる。

 寺宮でも遊びに来たのか?

 そう思い、体を後ろへ向ける。

 

 そこには満面の笑みを浮かべた義妹……久坂夕嬉がいた。


 「えっ、ちょっ……夕嬉!?」


 「言ったでしょ?あの占いは当たるんです!」


 キーンコーンカーンコーン……とチャイムが鳴った。

 これは平穏だった去年の終わりか、夕嬉と始める一年間の始まりか、どちらを知らせる音なのか。

 俺はその答えをすぐに見つけることは出来なかった。

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