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義妹が向けてくる好意がLikeかLoveかわからないからどう応えたらいいのかわからない件  3,5話 

今回は、今度出す予定の4話と、3話の間の話で、主人公以外からの視点に挑戦しています。

ほとんど過去語りですが……。

誤字脱字、文の指摘、感想お願いします

 二年前、私に兄が出来た。

 父さんとお母さんが離婚して、母さんが再婚した相手の人の息子さん。

 正直、義理の兄妹ってうまくやっていけるんだろうか?とか、どんな人なんだろうか、など、期待と不安が混じりあったような感じだった。

 でも、でも私、その人に……恋をしてしまったんです!



◆


 

事の発端は、結婚式までにはお互いの子供たちにも顔を会わせさせておきたいと、お母さんとお義父さん(になる予定の方)が用意してくれた機会だった。

 私とお母さんはアパート暮らしだった。

 しかも、正直狭い。

 なので、厚かましいとは思ったけど、向こうの家で顔合わせをさせていただくことになった。

 お母さんから話は聞いていたけど、どんな方たちなんだろうかと、その前日は眠れなかった。

 日曜日、車でお相手の方の家に向かった。

 庭の手入れ、掃除も行き届いているいい家だと思った。

 きっと、お母さんの再婚(予定)相手はいい方なんだろうなと、玄関先から思えた。

 お母さんが、「さて、それじゃ行きましょうか」と、呼び鈴を押した。

 が、しかし。家の中からは何も聞こえず、鍵を開けに来る気配も感じなかった。


 「あれ?おかしいわね……?留守なハズはないんだけど……」


 そう言ってお母さんはまた呼び鈴を押す。

 返答はない。

 ……自分から家に招いておいてこの仕打ち……!

 許せん!絶対嫌な人だ!こんな人に、お母さんは任せられない!

 私が怒りに震えていると、後ろから声が聞こえた。

 

 「あの~、ここの家にご用が?」


 私と同じくらいの年に思える男子だった。

 ここの近くにある中学校の制服を来ている。

 ……っていうか、なんで休日に学ラン?


 「あ、服装は気にしないで下さい。それより、ここに用ってことは……?」


 おそるおそる、という感じで聞いてきた。

 私のイライラが伝わってしまっているのだろうか。

 ゴホン、と咳払いを一つ、気持ちを落ち着かせる。


 「実は、ここの家の方とお母さんが付き合っているらしくて、今日はその顔合わせに……」


 と言うと、男子は「あ、やっぱりそうですか……」と言った。

 やっぱり?どういう意味だ?

 聞こうと思ったら、その男子は後ろを向いて、


 「親父!やっぱりいらっしゃってるじゃないか!結局遅れてるし!」


 「いやはや……まさかあんなに道が混んでいるとは……」


 もう一人、段ボール箱を抱えた男性が歩いてきた。

 結構重そうで、男子が「ああもう!」と言いながら、その荷物を奪い取るような形で受け取った。

 お母さんはそこでようやく男性たちに気づいたらしい。

 

 「陽太郎さん!」


 と、あとから現れた男性に近づいてきた。

 男性……陽太郎さんは申し訳なさそうに、


 「ごめんね、おもてなしするためのお菓子とかを買いに行ったら遅れちゃうなんて、礼儀も何もあったもんじゃないよね。本当にごめん。」


 と、深々と頭を下げた。

 お母さんは「いいのよ、気にしないで」と言うが、私はイライラした気分が収まらなかった。

 陽太郎さんは玄関の鍵を開け、中に入っていった。

 お母さんもついていきながら、「夕嬉、いらっしゃい」と私に促す。

 信用ならん、あの男……!私が母さんを守らなければ!

 そう決意したとき、後ろから「えーっと、ゆき、さん?」と声がした。

 さっきの男子だ。

 陽太郎さんから受け取った荷物を抱えたまま、こちらを見つめていた。

 私はそこでようやく、名前を聞かれたことを理解した。


 「ああ、はい。夕嬉です。夕日の夕に、嬉しいって書いて夕嬉。よろしくお願いします」


 「いえいえ、こちらこそ。俺は慎。慎ましいって字で慎です」


 自分の名前を言うと、彼はニコッと笑った。

 とても優しそうな人だな、と思った。

 こんな優しそうな人が、あんな男の息子……?

 そして私のきょうだいになるかも知れない人……。

 嬉しいような、イライラするような、よくわからない感情が私の中で渦巻く。

 すると、彼が言った。


 「あの……親父のこと、結構ダメな人に見えてますよね?でも、あれは、夕嬉さんと、夕嬉さんのお母さんを迎える最高のおもてなしをしようとした結果であって!

  ……まぁ、当日に買いにいくのもどうかと思うけど……」


 彼はしっかりと私の目を見ていた。

 私は、そんな彼に目が離せない。


 「えっと、つまり!ああ見えて親父はいい人です!だから、少しでもいいんで、信じてやってくれませんか」


 彼の言葉が、私の心に響いた。

 遅れた理由の言い訳っぽいけど、そんなことはもうどうでもよかった。

 ただ、今彼が見せた優しさが、私の心のイライラを消したのは事実だ。

 彼の言葉で、私は、あの陽太郎さんという人間を信じられるような気がした。

 私は、彼に駆け寄る。

 

 「それ、重いでしょ?手伝います」


 「え、ああ、どうも。じゃあ、そっち持ってもらえます?」


 段ボール箱の片方を持ち、玄関へ入る。

 でも、私はただ手伝いたかった訳じゃない。

 彼の顔をもっと近くで見たかった。

 今思えば、私はこの時から既に彼……兄さんを、久坂 慎を好きになっていたんだと思う。

 

 その後、お母さんは再婚し、陽太郎さんがお義父さんになった。

 私たちは、慎さんの方が上……兄に当たると知って、初めて会った時に彼がおそるおそる敬語で話しかけてきたのが可笑しく思えた。

 慎さんの方は私のことをどう呼ぶか、すごく悩んでいたようだけど、私は兄がいることに憧れていたのもあって、「兄さん」と呼ぶのが妙にしっくり来て、初めて呼ばれた時は鳩が豆鉄砲食らったような顔をして「え?今なんて?」と聞き返してきた。

 私は自分から、


 「名前で読んで欲しい」


 と伝え、照れながら「えっと……ゆ、夕嬉」と呼んでくれたときはとても嬉しかった。

 ちなみに、私が彼を兄さんと呼ぶのに1ヶ月かかり、兄さんが私を名前で呼んでくれるようになるまで3ヶ月くらいかかった。

 その間、ひたすら「夕嬉……さん」と最後に必ず「さん」がつくのが惜しかった。

 まぁ、そういう可愛いところも好きになったんですけどね!



◆



「うーん、二年前の日記っていうのも懐かしいな」


 私は今、自分の部屋のベッドに寝転びながら、日記帳を開いていた。

 部屋にムカデが出て、兄さんに泣きついたあとだ。

 日記をつけるのは私の日課の一つだ。

 この家に来てから毎日欠かさずに日記を書いている。

 二年前のときから、日記には必ず兄さんが登場する。

 兄さんとの思い出をまず第一に綴ってしまうのだ。

 その日、どんな些細なことでも、兄さんと関われればそれは必ずこの日記に書いた。

 これは、恋なんだろうか。

 私は兄さんが好きな気がする。

 そんな曖昧な感情でいるのではないだろうか。

 二年前から全く成長していない。

 もし本当に二年前からずっと好きなら、告白だって出来たはずだから。

 同じ家に住んでいるなら尚更だ。

 私は、自分の気持ちに嘘をついているのだろうか……。


 「……いえ、いいえ!そんなことない!ないはず!」


 隣の部屋に聞こえない程度に、自分に言い聞かせるように声を出した。

 そうだ。

 自分は本当に兄さんが好きなんだ。

 そうじゃなかったら、毎朝顔を見る度に何故かホッとしない。

 笑顔で「おはよう」と言われる度に、胸がときめかない。

 二年前からずっと、私は兄さんが好きで、私は自分の気持ちをわかってもらいたいと思っている。

 でも、まだ言えていない。


 「……いつか、言えるといいな。……いえ、言うの!頑張れ夕嬉!」


 そう言って日記帳を閉じてベッドから立ち上がり、今日の日記を書き始めた。

 書くことは決まっている。


 「夕日、すっごい綺麗だったな……。また見に行きたいな」

 

 あと、ムカデから私を助けてくれたこと。

 カッコよかったなぁ、兄さん。

 惚れ直した!って感じ。

 さらさらとペンが走る。今日は書きたいことが一杯だ。

 夕日のこと、夕食で喧嘩(?)したこと、ムカデを追っ払ってくれたこと……。

 そこで私は思い出した。


 「夕食の前の……兄さんが、昔の夢を見た、って……」


 そこで気づいた。

 いや、兄さんのことが好きなら、何故今まで気にならなかったのか不思議なくらいだ。


 「私、兄さんの昔のこと全然知らない……!?」


 兄さんは昔のことをなかなか話したがらない。

 兄さんは、きっと過去に何かとても大きな体験をしたんだろう。

 そして、それは忘れたくても忘れられない。

 直感だけど、そう思った。

 私もそうだったから。

 私も、お父さんがいなくなったときは本当に辛かったから。

 兄さんのお母さんも出ていったと聞いた。

 もし、兄さんも私と同じことで過去から抜け出せていないなら、力になってあげたい。

 

 そう日記帳に書き込んで、私はそれを閉じた。

 色々思うことはあるけど、今出来ることはもうない。

 私は部屋の電気を消し、ベッドに倒れこんだ。

 そして、寝る前のおまじないを行う。

 これも日課の一つ。

 私自身もいつからやりはじめたのかわからないけど、何故か体に染み付いていた癖のようなものだ。

 仰向けの状態で、理想の自分をイメージする。そしてそこにどうやったら近づけるか、一つ考える。

 その考え付いたことを、次の日のうちに実行する、というもの。

 仰向けで行うのは、この姿勢が一番落ち着くからだ。

 毎日何かしらを続けていれば、理想に近づき、自分にも自信が持てる……らしい。

 私は理想の自分をイメージした。

 ……理想……理想……。

 ふと頭に浮かんだのは、兄さんとデートしている自分。

 あわててそのイメージを消そうとしたけど、頭のなかに浮かんだ想像はなかなか消えない。

 顔が熱くなるのを感じながら、仕方なく次のステップへ。

 どうやったら兄さんとデート出来るか……?

 やはり、こちらから誘うしかないだろう。

 でも明日は二人とも部活があるし、時間が合わないな……。


 「一声かけてくれれば待ってるから」


 今日、言われたばかりの言葉を思い出した。

 そ、そうだ、兄さんに待っててもらえれば……。

 でも、迷惑をかけるのには間違いないことだ。

 でも、兄さんとデートするのは、私にとって夢でもある。

 まさに理想!

 明日、頼んでみよう……!


 ワクワクする心を押さえきれず、明日が楽しみで仕方なくなった。

 布団にくるまり、意識を眠りに落ちる……。


 「……眠れない……」


 ワクワクした気持ちが強すぎたからだろうか。

 心が高鳴って眠れなくなってしまった。

 

 「明日、起きられるかな……」


 時計を見ると3時過ぎ。

 ちなみにいつも私は遅くても1時には寝てしまう。


 「……朝練、休もう……」


 多分起きられないだろうな、と思い、今から朝練を休もうと思った。

 朝起きれられなかった場合は……もうお母さんに頼もう……。

 そんなことを考えていると、意 だんだんと意識が遠のいていくのを感じた。

 明日、兄さんとデート出来るのか、そもそも朝ちゃんと起きられるかな……?

 考えがまとまらないうちに、意識は闇の中へ落ちていった。

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