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第十一章 渡辺刑事に鶴千代の正体知られる

翌日職場に初美から、鬼頭様からお座敷の声がかかったと連絡があった。

その事を係長に報告して、帰宅して芸者の準備をする事を伝えた。

須藤刑事が、「係長!前田が心配していたように、矢張り鶴千代さんに危険な事をさせているのですか?鶴千代さんにもしもの事があればどうするのですか!」と鶴千代の事を心配していた。

帰ろうとしていた広美が、「彼女が危険な事に巻き込まれないように、鬼頭からお座敷の声がかかったら連絡頂けるようにしていました。私はこれから鶴千代に貼り付きます。鶴千代に何かあれば私が責任を取ります。」とそんなに私が信用できないのかと不満そうでした。

前田刑事が、「主任が責任を取っても、鶴千代さんが重傷を負えばどうなるのですか?」と心配していた。

広美は、「私が生活のめんどうをみるわ。」と部下に伝えて府警本部をでた。

緒方係長は、“鶴千代に何かあれば、林君でないと生活のめんどうは見られないだろう。”と笑いを堪えていた。

小菊は、防弾チョッキを着用している芸者姿の広美が拳銃の確認をしている様子を見て、刑事が護衛していても、そんなお座敷にでるのは怖いわ。鶴千代姉さんがいてくれて助かったと事件に巻き込まれずにほっとしていた。

    **********

その頃五係では、「この件は最初から俺達が捜査していた。何故三係が潜入するのですか!」と不満そうに、五係の刑事たちは小山係長に詰め寄っていた。

小山係長は、「その点は私も感じて一課長に納得できる説明を要求しました。一課長の説明では、三係の林主任は花町や芸者に詳しく、怪しまれずに潜入できるとの事でした。この件は一課長からの指示だ。」と部下に説明した。

    **********

その夜、広美は鬼頭のお座敷にでていると、鬼頭が呼んだ若い男性にメモを渡すと、その男はすぐにお座敷をでた。

広美はトイレだと伝えてお座敷を抜けて、料亭内部の別室で張り込んでいた緒方係長に、「今でていった若い男が鬼頭からメモを受け取り、左の胸ポケットに入れていました。」と報告して、鬼頭を逃がさないようにお座敷に戻った。

緒方係長から無線で聞いた刑事達は男を呼びとめて、左の胸ポケットに入っていたメモを確認した。

犯人一味への呼び出しメモで、犯人一味全員が判明し、連絡を受けた五係が逮捕に向かった。

    **********

緒方係長は部下に、料亭に踏み込むように指示し、鬼頭のお座敷に乗り込んで警察手帳を提示し、メモの事を伝えて任意同行を求めた。

鬼頭は、「私がそのメモを渡した証拠はあるのかね?」と緒方係長を睨んだ。

緒方係長は、「指紋照合すれば判明しますよ。」と鬼頭を追求した。

鬼頭は、「私がそのメモ用紙に触れた事があるだけで、メモの内容や私が渡した証拠にはならないだろう。」と反論した。

緒方係長は、「刑事が目撃していました。」と鬼頭を追い込んだ。

鬼頭は、「どこにそんな刑事がいるのだ?」とここに刑事がいない事を告げた。

広美が警察手帳を提示し、「京都府警の林です。」と鬼頭を睨んだ。

鬼頭は、「貴様、警察の犬だったのか!小菊が腹痛で交代したのは嘘か!」と別室に待機させていた用心棒を呼んだ。

料亭に踏み込んだ三係の刑事達も加わり乱闘になり、そのどさくさにまぎれて鬼頭が逃亡したのを広美は見落とさなかった。

    **********

広美は一人ポツンとしていた渡辺刑事に、「刑事さん、黒幕が向こうに逃げたわよ。追わなくてもいいの?」と助言した。

広美と渡辺刑事が追っていると、鬼頭が車で逃走しようとしていた。

広美は、「刑事さん、手柄を立てるチャンスよ。車の進路を妨害して。」と渡辺刑事の背中を押した。

渡辺刑事は、車の進路で両手を広げて、停止を命じた。

鬼頭は停止するどころか、逆に加速して渡辺刑事に突っ込んだ。

渡辺刑事は腰を抜かした。

広美は渡辺刑事を助けるには間に合わないと判断して、タイヤを狙い発砲した。

安定感を失った車は電柱に激突した。

渡辺刑事は発砲に驚いて振り返った。

「鶴千代さん、何故拳銃を持っているのですか?」と何がどうなっているのか理解できない様子でした。

広美は鬼頭に手錠をかけて、「渡辺君、私よ。他の刑事は知らないので内緒よ。」と警察手帳を提示した。

渡辺刑事は、「えっ!主任?」と驚いていた。

    **********

三係に手柄を横取りされて納得できない五係の石塚刑事が、小山係長から一課長からの指示だと説明を受けても納得できずに隠れて様子を窺っていて、人気芸者、鶴千代の正体を知り、何故広美が芸者に詳しく、怪しまれずに潜入できるのかや、予約が取りにくい理由についても納得していた。

銃声に驚いた須藤刑事が急いで銃声のした方へ向かった。

須藤刑事が現状を見て、何が起こったのか渡辺刑事に確認した。

渡辺刑事は、「腰を抜かした私を助けようとして主任が発砲されました。須藤刑事の声がしたので私が後を任されて、鶴千代さんを安全な場所に誘導されました。」と説明した。

    **********

犯人一味を取り調べた結果、逃走車両が発見できなかったのは、銀行強盗現場近くの路地に大型トラックを停車させていて、そのトラックに車ごと乗せて逃走した為に発見できず、検問も乗用車に限られて、大型トラックは検問を通過していた。

大金が金庫に保管されている銀行や警察の動きを鬼頭議員が調べて襲撃日などを決定していた。

    **********

緒方係長が事件解決を捜査一課長に報告して、その後全員を集めて、「今回、事件解決の打ち上げは本日五係と共同で行う事になった。一課長も参加される為に一部と二部に分けて行います。一部は一課長室で一六時から十八時まで行い、その時に人事異動の発表もあります。二部は場所を変えて烏丸ホテルで行います。鶴千代さんも呼んでいるので和室の宴会場になります。」と全員に連絡した。

やがて十六時になり全員一課長室に集まった。

最初に一課長が挨拶した。

「今回、三係の林主任がいち早く現場に潜入した為に事件が早期解決しました。今回私の秘書が結婚退職する為に、林君を係長待遇として捜査一課三係主任と捜査一課長秘書を兼任して頂く事になりました。林主任は今後一係から十係まで関わる事になります。多忙な林君のサポートとして、インテリの西田健吾刑事を三係副主任に任命します。西田君が主任として独り立ち可能になれば、林君には一課長秘書に専任して頂きます。」と発表した。

緒方係長が、「それでは二人に一言ずつ挨拶して頂きます。」と広美に目で合図した。

広美は、「私はまだ結婚の予定はないので当分一課長のサポートをさせて頂きます。」と挨拶した。

前田刑事が、「鬼軍曹に惚れる男はいないだろう。」と呟いていた。

広美は、「人のホッペにチュウして何を言っているのよ。」と緒方係長と小声で顔を見合わせて雑談していた。

西田刑事が、「私は主任のような素早い動きには自信がありませんが、文系出身の刑事が多い中、理系出身の持ち前の知識で三係を引っ張って行こうと思いますのでよろしくお願いします。」と挨拶した。

一課長が、「アルコールは二部で用意していますので、ここでは食事のみにして下さい。乾杯はお茶でお願いします。それでは乾杯!」と全員お茶で乾杯した。

この人事異動で広美は、“矢張り一課長からもこき使われそうだわ。でも一課長は私が中学生の頃から憧れていた刑事だったからそれも本望だわ。”とやる気十分でした。

前田刑事と須藤刑事が広美に、「昇格おめでとうございます。今後主任と一緒に仕事する機会が少なくなり残念です。」と心にもない挨拶をしていた。

緒方係長が来て、「そうか。二人ともそんなに林君と仕事したいのか。心配しなくても、今回退職される秘書は捜査権を持つ秘書です。つまり林主任は一課長直属の刑事になります。捜査権を持たない秘書は別にいます。一人で対応可能な事件が発生した時や、他の係の援助が必要な時のみ、刑事として一課長の援助をします。それ以外は三係にいます。今後君達とペアーを組んで頂く事にします。」と説明した。

前田刑事と須藤刑事が藪蛇だったとお互い顔を見合わせて苦笑いしていた。

色々と雑談していると一課長が、「そろそろ時間なので、ホテルのマイクロバスが玄関に到着します。皆さん移動して下さい。林君は私用があるのでこれで帰るそうです。」と指示した。

広美は、“何が私用よ。私用を作ったのは誰よ。私もたまには芸者ではなく皆とゆっくり飲みたいわよ。”と不満そうに芸者の準備をする為に一旦帰宅した。

    **********

その後、全員ホテルに集合して宴会を始めた。

今回三係と五係の合同宴会なので人数も多い為に、芸者は広美の他に、春駒も来た。

一課長は芸者姿の広美と話をしたかったのですが、鶴千代は人気者でなかなかチャンスがなかった。

やがてそのチャンスが訪れた。

一課長は周囲に聞こえないように小さな声で、「君、本当に林君なのか?」と信じられなくて直接確認した。

広美は、「ええ、そうです。私が中学生の時には暴漢から救って頂きありがとうございました。」とその時の御礼を改めてした。

一課長は、「気付いていたのか。」と広美とその話をした事がなかったので、気付いているのかどうか疑問に感じていたようでした。

広美は、「最初は気付いていませんでしたが、先日母に教えて頂きました。恩人を忘れるなんて冷たいと叱られました。それに一課長室に当時の写真が飾られていれば嫌でも気付きますよ。セーラー服なので恐らく他の刑事達は一課長の娘さんと勘違いされていると思いますよ。」と最初は気付いていなかった事を説明した。

一課長は、「そうか。私は最初から気付いていました。君を所轄の婦人警察官から京都府警の刑事に抜擢するように上層部に進言したのは私だ。君の実家が置屋で、君が芸者のアルバイトをしている事は知っていた。芸者はお客様の事をよく見るだろう。人を見る目がある君を刑事として抜擢したのだ。」と抜擢した理由を説明した。

広美は、「それだけですか?秘書といっても芸者として潜入する事が主業務ですか?」と一課長の考えを確認した。

一課長は、「それは考え過ぎだ。しかし、林君は今の事は見ているが、昔の事はみてないようだね。私は、刑事は犯罪者を逮捕すれば終わりではなく、その後の更生にも力を貸すべきだと思っています。勿論林君が中学生の時に襲った暴漢の更生も援助しています。先日その暴漢と君が・・・辞めとこう。襲ったほうも襲われたほうも、相手の事は忘れているようなので。」と意味ありげな事を呟いていた。


次回投稿予定日は、6月29日を予定しています。

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