Ep. 7 実験場
少し短いですが、目指せ毎日投稿。
拙い作品ですが、お目通しいただければ幸いです。
Ep. 7 実験場
ケンとマリが連れてこられた研究室は、日の光が一切通らず、謎の光る物体で照らされていた。
部屋はそれほど広くなく、真ん中に実験用の台と、周囲にいくつか棚がところ狭しとおかれていた。
「さあ、早速始めていくわよ~」
そう言って、デンティルは様々なサイズのナイフが入ったバッグを持ち出す。
「まずは、本当に痛みを感じないのかを確かめていくわよん」
そう言って、ケンを切りつけ始めた。魔力を使い抵抗しようとしたが、魔力を思うように使うことが出来なかった。
「ぐっ、うっ」
デンティルは足先、太もも、背中、肩と、筋肉が多く、致命傷になりにくい部位から切傷を加えていく。
痛みは無いが、気分が良いものではない。
「痛みはない・・・のねん。やっぱり、異人の体は意味が分からないことだらけ。」
「まず、レベルアップ的に強くなっていくのがイミフだわ~」
デンティルはさらに首、顔、頭と余すことなく傷をつけていく。
痛みは無いが、ケンはそのたびに声が漏れてしまう。
「うん、少し脈は速いけど、その他のバイタルの変化なし。そして、出血もない。」
「やっぱりこの程度では痛みはないということねん~。そしたら、あなたにもオリエンテーション最後の実験よ~」
デンティルは長い針を手に取り、首、脇、太ももへと刺した。
「今更、針でどうにもならないことは分かるだろう。早く終われよ」
そう言いながら、ケンは自身の体をくねらせようとする。しかし、体は思うように動かない。
「やっぱり!期待通りの結果だわ!大きな神経を指すと、異人は動けなくなる!」
「ということは、強さの源も神経にあるのかしら・・・」
一通りの実験を終えて、ケンはマリの横に寝かされた。
デンティルは、鼻歌交じりに実験室を後にした。
神経を傷つけられ、物理的に動けないと判断されたため、実験室内に適当に転がされている。
「ケン、大丈夫・・・じゃないね」
「お互い様だな」
「これで痛かったら、生きていられる自信なかったよ」
「そう・・だな。しかし、なんで俺たちここにいるんだ?」
「分からない・・・。私の記憶は、モクじいの家で寝たところまでよ」
「俺もそうだ。ということは・・・。」
「そう・・ね。信じたくはないけど、モクじいが私たちをここまで連れてきたんだろうね」
マリは黙ってしまった。モクじいを心の底から信頼していただけあって、マリはしばらく会話する元気を喪失してしまった。
========
研究所に運ばれてからどのくらい時間がたったか、ケンは少し魔力を使えるようになったことを直感的に悟った。
「よし、魔力が使える。しかし、どうしたものか・・・。」
そう呟きながら、ケンは自身の現状を確かめる。
体は全ての部位が動かない。これは、神経を針で刺されたことによると考えられる。つまり、神経さえ繋がっていれば、体は動くということが考えらる。
「マリ、魔法で体を治すことは可能なのか?」
「私にはできない。でも、師匠は自分の体や私の体を治してくれていた」
「それはどの程度の傷なんだ?」
「師匠曰く、頭が無事ならどんな傷でもふさげるらしいわ」
「なら、神経をつなげることも多分できるんだろうが・・・。」
ケンは思考する。魔力とは、他の物質に干渉したり、他の物質に変換したりできるものであると感覚的に理解している。魔力を神経に変質させることが出来るのではないだろうか・・。
ケンは、針の指し口に魔力を流し、体をめぐる神経をイメージしながらそこに魔力を合わせた。すると、不思議と自身の体にある魔力が、神経を伝っているのを感じた。そして、針の刺さった周辺に魔力の途切れ目があることを認識する。
(魔力は神経の周辺を流れているのか?それなら、この途切れ目を修復するように魔力を流していけば・・・)
「おお、体が動く!しかも立ち上がれるようになったぞ!相変わらず両手は無いが・・。」
「すごい!どうやったの?私も動かせる?」
ケンはマリにも同様に魔力を流す。すると、マリは静かに立ち上がった。
「師匠以来だよ!傷の修復、ましてや神経を修復したのは!」
「たまたま知識があったからな。召喚される前は、人体に詳しかったんだろう」
「そうかもね!」
「まずは、この研究室を脱出しよう!」
なんとか体を動かすことに成功したケンとマリは、脱出を目指して行動するのであった。
少しでも気に入っていただけた方は、お気に入り登録や評価のほどよろしくお願いいたします。




