Ep.8 脱出
何とか二日連続投稿・・・。
このまま頑張ります。
拙い作品ですが、お目通しいただければ幸いです。
Ep.8 脱出
ケンとマリは一通り体が動くことを確認する。
マリは、その場でぴょんぴょんと跳ね、自身の体が五体満足であることに安堵した。
「ところで、ケンは立てるようになったんだね1」
「ああ、俺が立てなかったのは疲労だけだと思っていたが、どうやら神経が傷ついていたらしい。」
「なるほど!確かになくなったのは腕だけだもんね!」
「ケンも動けることだし、脱出しないとねー。ここは多分木之里国だから、見つかるとまた捕まるだろうね。」
「ああ、マリがモクじいと呼んでる男が運び込んだんだ。元々繋がりがあった木之里国だろうな。」
「脱出するにしても、木之里国はどんな国なんだ?」
「うーんとね・・・・。私も来たことはないから詳しくは知らないけど、国の外周を大きな木が囲んでいると聞いてるわー。」
「そして、多くの大国に接していて、戦争が絶えない割に戦力の補給も難しいから、大国の中で最初にほろぶと言われていたよー。」
「戦力の補給が難しい?」
「そうなの。木之里国は湖畔の塔から一番遠いからねー。新規の異人を捕まえられないし、倒してすでにいる異人が強くなることもできないってわけ。」
「なるほど・・・。なおさら、逃げないと何をされるか分かったものじゃないな。」
「ええ、もう実験体はこりごりだわ。」
ケンは四方を確認する。扉は一つで、先ほどデンティルが出ていった場所である。
「ここから出るしかないが・・・。見つかる可能性が高いよな・・。」
「そうね。見張りがいるとも限らないし・・・。」
「困ったときの魔法だ。何か手段はないのか?テレポートとか、透明になったりとか・・・。透明になる・・・・。」
「そんなもの知らないわー。テレポートってそもそもなにー?」
マリの返答をよそに、ケンは思案する。
(透明になれなくても、姿を消すことはできるか・・・?)
「透明になれるかもしれない。人の視界に写るってのは、光が反射して目に投影されたり、その物体が光を吸収したりすることが原因だろう?それならば・」
「ストップ、ストーップ!何を言っているのか、全然わからないー。」
マリの頭から煙があがる。ケンは水を得た魚のように、知識を浴びせるため、マリの許容量を超えてしまった。
「要するに、光を反射する層と光を屈折させる層を魔力で再現すれば、透明になれそうです。」
ケンは諦めた。
そして、魔力を周囲に放出し、薄い層にしていく。光が反射するように鏡をまねて変質させていく。感覚的なものであるため、中々上手くいかない。
「どうだ?今透明に見えてるか?」
「うーんとね・・・。よく見るとわかるね。」
「まあ、やらないよりはマシか。多分だが、色々なもので構成されている物質に寄せるのが難しいんだろうな。」
「それは師匠が言ってたわ!岩や木みたいな自然のものを魔力で再現するのは一流でも難しいって!」
「なるほどな・・・・。知識としてはあるが、木や岩の組成を詳しく再現するのは現時点では不可能だもんな。」
「さて、早いとここの部屋を出るぞ。」
そう言って、ケンは扉をそっと開ける。
<ここからは、小声でな。>
<分かったわ。>
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ケンとマリが脱出を企む中、デンティルは自身の上司に実験の導入の成功を報告していた。
見上げるほど大きな大木の、雲がある位置をくりぬいて作られているその一室は、簡素ながらどこか気品の漂う装飾が施されていた。
そして、デンティルの視線の先には、細見ながら威圧感の強い、深い緑の髪をした青年が座っていた。
「ローレル様!仮説はやはり正しかったですわ~」
「異人の強さの源は神経、もしくわその周囲にあり、我々の作成しているキメラももっと小さくすることが可能なはずだわ~」
ローレルと呼ばれた青年は感嘆の息を漏らす。
「そうか。それなら、ローガンの奴が俺のけがを治していたのは・・・」
「はいですわ~。神経の周囲に魔力を流すことで治療を行っていた可能性が高いですわん」
「いずれにしても、魔力を放出するすべのない我々には再現は不可能だということか。」
「それについても、実験体を使って上手く突き止めて見せますわ~」
「そうか。頼んだ」
デンティルは、跳ねるようにして扉を後にする。
「ローガン、懐かしいな。」
青年は何を思うのか、窓の雲に視線をうつし、少し遠い目をしていた。
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ケンが扉を開けた先に、見張りはおらず安堵する。扉の先には階段があり、階段の壁には、実験室にもあったような光る物体が埋め込まれていた。
<何とか、見張りはいないらしい。そっと階段を上がるぞ。影になっている部分に立てばどうだ?あんまり見えないんじゃないか?>
<うん、かなり見にくくなったよ。>
<よし、そのまま前進だ。>
ケンとマリは、光の照らされていない、影を慎重に進む。階段は予想よりも長く、数百ほど登ったとこで、広い部屋に出た。
<よし、部屋も特に人はいないな。>
広い部屋は訓練に使われている様子であり、たくさんの武器や防具、盾がおいてあり、真ん中には土で出来た決闘上のようなものまであった。
<ここは早く移動しないと人がやってきそうだな。>
<そうね。明らかに訓練場だわ。>
そう言って、足早に大きな門へと向かったが、時はすでに遅く、兵士たちが集まってきた。
ケンとマリは、緊張しながらも鎧の陰に隠れる。
「よし、全員揃ったな。午後からの訓練を開始するぞ」
そう言うと、兵士たちは二人一組で剣の打ち合いを始めた。
剣戟の物音に隠れるように、多くの兵士がくぐった門を通る。
門を通過した先は町に続いており、ケンとマリは急いで町の人込みへとまぎれた。
「ふう、ここまでくれば一安心かな。」
「思ったよりも簡単だったわね!」
「ただ、運が良かっただけだろう。まず、閉じ込められていたのが出口の近くだったし、透明化が意外に上手くいったし。」
「確かに、透明じゃなかったら兵士の訓練場を通過して逃げ出すのは難しい構造になってたねー」
「これからどうする?服もボロボロだし、ケンに至っては両腕ないから絶対不審に思われるわよ」
「そのためにこれを持ってきた。訓練場においてあった剣だ。これを売れば身支度くらいできるだろう」
ケンは盗んできた剣をマリに見せびらかす。
「手癖が悪いわねー。まあ、今回は仕方ないから私がささっと売ってくるわね」
「ああ、頼んだ。」
盗んだ剣は割と業物であった様で、そこそこの大金を得たケンとマリは服装を改め、ケンに関しては体を覆えるマントまで装着した。
「さて、まず飯でも食いながら今後について話そう。」
ケンとマリは、大衆居酒屋にその足を運ぶのであった。
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