三人で公園
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休日の午後。
青空が広がり、春の風が心地よく吹いていた。
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「海くん!」
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海人の家の前。
茉白が手を振る。
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「おう」
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「公園行こ!」
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「いいけど」
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その時だった。
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「にぃちゃ!」
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トコトコと海里が玄関から出てくる。
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海人の足にぎゅっと抱きついた。
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「……なんだよ」
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「いく!」
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「え?」
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茉白がしゃがみ込む。
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「海里も行きたいの?」
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「うん!」
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元気いっぱいにうなずく。
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海人は少しため息をつく。
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「母さーん」
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「海里も公園行きたいって」
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家の中から母が顔を出す。
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「じゃあお願いしてもいい?」
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「……はいはい」
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ぶっきらぼうに返事をする。
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三人で公園へ向かった。
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公園に着くと、
海里は嬉しそうに走り出す。
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「にぃちゃー!」
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「転ぶなよ」
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海人が後ろを歩く。
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「海里、こっち!」
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茉白がしゃがみ込み、
シャボン玉を吹く。
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ふわり。
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透明なシャボン玉が空へ浮かぶ。
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「わあ!」
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海里は目を輝かせ、
一生懸命追いかける。
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「まてー!」
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ぱちん。
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割れた。
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「あっ!」
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悔しそうな顔。
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茉白は笑いながら、
もう一度シャボン玉を飛ばす。
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「ほら、いっぱい!」
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「わぁー!」
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海里は夢中になって走る。
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その様子を、
海人はベンチに座って見ていた。
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(楽しそうだな)
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思わず少し笑う。
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その時。
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海里が小さな石につまずいた。
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「あっ!」
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ぐらり。
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「海里!」
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「海里!」
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海人と茉白が、
同時に駆け出す。
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海里は転ぶ寸前で、
二人に支えられた。
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「だいじょうぶ?」
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茉白が優しく聞く。
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海里は少し驚いた顔をしたあと、
にこっと笑った。
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「へーき!」
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「気をつけろよ」
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海人が頭を軽くなでる。
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「えへへ」
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海里は嬉しそうだった。
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少し休憩することになり、
三人でベンチに座る。
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海里はジュースを飲みながら、
足をぶらぶらさせている。
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「海里、元気だね」
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「毎日こんな感じ」
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「海くん大変そう」
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「……まあな」
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そう言いながらも、
どこか嬉しそうだった。
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「にぃちゃ」
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海里が海人の袖を引っ張る。
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「ん?」
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「すき!」
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突然の一言。
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「……そうかよ」
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照れくさそうに頭をかく。
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その様子を見て、
茉白はくすっと笑う。
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「海くん、やっぱり優しいお兄ちゃんだね」
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「……うるせぇ」
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また照れる海人。
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帰る時間。
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「また公園来ようね!」
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茉白が言う。
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「うん!」
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海里は元気よく手を挙げる。
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「……暇だったらな」
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海人はぶっきらぼうに答えた。
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でも、
三人で歩く帰り道は、
いつもより少しだけにぎやかだった。




