放課後、いつもの帰り道
■放課後、いつもの帰り道
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「海くん」
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「なに」
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「海里に会いたい」
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一瞬、空気が止まる。
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「……は?」
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予想外すぎて、思考止まる。
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「この前の話聞いてさ」
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「ちょっと気になる」
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「かわいかったし」
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普通のトーン。
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でも。
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(……なんでだよ)
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胸の奥、
ざわっとする。
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「……なんでわざわざ」
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少しだけ低い声。
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「いいじゃん別に」
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「だめなの?」
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首かしげる。
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(だめじゃねぇけど)
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(なんかやだ)
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理由、分からない。
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でもはっきりしてる。
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(……またあいつに行くのかよ)
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この前みたいに、
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海里とばっか遊ぶのが浮かぶ。
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(……俺の家なのに)
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ちょっとだけ、
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面白くない。
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「……別にいいけど」
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結局それ。
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「ほんと?」
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「……ああ」
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でも、
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(なんでこんな引っかかるんだよ)
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■海人の中の焦り
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そのあと少し無言。
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(……なんだこれ)
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イライラじゃない。
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でも落ち着かない。
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(あいつ、海里のことばっか見てたら)
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(……)
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想像して、
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ちょっとだけ胸が重くなる。
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(……やだな)
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ぽつりとした本音。
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■茉白は普通
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「いつ行く?」
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「……は?」
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「今日でもいいけど」
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(はやすぎだろ)
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「明日でもいいし」
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楽しそう。
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(……なんでそんな楽しそうなんだよ)
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■ちょっとだけ出る本音
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「……あんま」
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「?」
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「海里ばっか構うなよ」
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ぽつり。
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言ってから、
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(……は?俺なに言ってんだ)
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自分でびっくりする。
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「え?」
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茉白、きょとん。
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「なんで?」
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まっすぐ。
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逃げ場なし。
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「……別に」
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またそれ。
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でも、
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耳、ちょっと赤い。
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■茉白の気づき
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少しだけ考える。
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(……あ)
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なんとなく分かる。
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(これ)
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「……海くんさ」
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「なに」
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「もしかして」
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少しだけ近づく。
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「さみしいの?」
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「は?」
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即否定の顔。
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「ちがうし」
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早い。
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「ほんと?」
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「ほんと」
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でも、
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目、逸らしてる。
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■少しだけ優しくなる茉白
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「じゃあさ」
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「?」
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「海くんとも遊ぶ」
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一瞬、止まる。
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「海里とも遊ぶし」
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「海くんとも遊ぶ」
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当たり前みたいに言う。
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「それでいいでしょ」
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(……)
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胸の奥、
少し軽くなる。
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(……ずるいなこいつ)
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「……勝手にしろ」
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ぶっきらぼう。
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でも。
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(……まあいいか)
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少しだけ、
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安心してる。
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