春休みの秘密基地
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修了式が終わり、
春休みが始まった。
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ぽかぽかと暖かい午後。
海人は約束どおり、秘密基地へ向かっていた。
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「海くん!」
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先に来ていた茉白が、大きく手を振る。
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「待った?」
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「ううん!」
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二人は笑い合いながら、いつもの場所へ入っていく。
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「久しぶりだね」
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「雪がなくなってる」
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冬の間とは違い、
地面には小さな草が顔を出していた。
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「春だな」
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海人は空を見上げる。
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木々の枝にも新しい葉が芽吹き始めていた。
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「ここも少し変わったね」
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茉白が辺りを見回す。
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「でも」
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「秘密基地は秘密基地だよ」
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海人が笑う。
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「だな」
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二人は切り株に並んで座った。
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しばらく風の音だけが聞こえる。
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「もう三年生だね」
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茉白がぽつりと話す。
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「うん」
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「また同じクラスになれるかな」
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海人は少し考える。
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「なれるだろ」
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「なれなかったら?」
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その質問に、
海人は少しだけ笑った。
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「そしたら休み時間に会えばいい」
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「帰りも一緒に帰ればいい」
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「秘密基地にも来ればいい」
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「だから大丈夫」
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茉白は安心したように笑った。
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「そうだね」
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「海くんらしい」
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海人は照れくさそうに頭をかく。
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「それに」
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「約束しただろ」
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「毎年来るって」
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茉白はうれしそうにうなずく。
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「うん」
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「約束した」
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風が吹く。
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桜の花びらが一枚、
秘密基地まで舞い込んできた。
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茉白はその花びらをそっと手に取る。
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「きれい」
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「三年生も」
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海人が静かに言う。
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「いっぱい思い出作ろうな」
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茉白は笑顔で答えた。
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「うん!」
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二人は顔を見合わせて笑う。
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春の風はやさしく吹き抜け、
秘密基地には二人の笑い声が響いていた。
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こうして春休みは過ぎ、
海人と茉白は、新しい学年へ歩き始める。
二人はまだ知らない。
これから始まる三年生が、
二人の運命を大きく変える一年になることを。




