一年ありがとう
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三月。
修了式まで、あと二日。
今日は教室の大掃除だった。
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「みんな、自分の担当をきれいにしましょう!」
先生の声が響く。
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「はーい!」
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海人は窓ふき担当。
茉白は机を運ぶ担当だった。
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「よいしょ……」
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机を持ち上げようとした茉白。
少し重くて、うまく持ち上がらない。
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「貸せ」
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海人が隣へ来る。
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「一緒に運ぼう」
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「うん」
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二人で机を持ち上げる。
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「せーの!」
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無事に後ろまで運び終える。
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「ありがとう」
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「別に」
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照れながら笑う海人。
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掃除が終わると、
教室はすっかりきれいになっていた。
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先生は教室を見回しながら微笑む。
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「みんな、この一年間ありがとう。」
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「みんなのおかげで、とても楽しい一年になりました。」
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教室は静かになる。
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「もうすぐ三年生ですね。」
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「新しい学年になっても、友達を大切にしてください。」
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その言葉を聞きながら、
海人は茉白の方を見る。
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茉白も同じように海人を見ていた。
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目が合う。
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二人とも小さく笑う。
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放課後。
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ランドセルを背負い、
いつもの帰り道を歩く。
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「もう終わっちゃうね」
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茉白が少し寂しそうに言う。
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「早かったな」
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「うん」
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少し沈黙が続く。
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「でも」
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海人が笑う。
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「三年生になっても遊ぼうな」
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茉白の表情が明るくなる。
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「もちろん!」
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「秘密基地も行こうね」
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「約束」
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「約束」
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二人は笑い合う。
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夕焼けの空を見上げながら、
ゆっくり歩く。
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二年生として過ごせる時間は、
あと少し。
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その一日一日が、
二人にとって大切な思い出になっていった。




