もうすぐ三年生
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三月。
少しずつ寒さがやわらぎ始めた。
校庭の木にも、小さなつぼみが顔を出している。
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朝。
教室へ入ると、先生が笑顔で言った。
「みんな、もうすぐ三年生ですね」
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「早ーい!」
「もう二年生終わり?」
教室がにぎやかになる。
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海人は窓の外を見ながらつぶやく。
「一年って早いな」
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「ほんとだね」
後ろから茉白が笑う。
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「去年は二年生になるの楽しみだったのに」
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「今度は三年生か」
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二人は顔を見合わせて笑った。
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休み時間。
校庭で遊んでいると、一年生の子が転んでしまう。
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「大丈夫?」
茉白がすぐに駆け寄る。
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海人も一緒にしゃがむ。
「立てるか?」
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一年生は少し泣きそうな顔でうなずく。
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「ほら」
海人が手を差し出す。
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一年生はその手を握って立ち上がった。
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「ありがとう!」
元気に走っていく。
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「よかった」
茉白がほっと笑う。
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「海くん、すぐ助けに行ったね」
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「茉白もだろ」
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「ふふっ」
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二人は笑い合う。
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帰り道。
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「三年生になってもさ」
海人が前を向いたまま話し始める。
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「今みたいに遊べるかな」
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茉白は少し考えてから笑った。
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「遊べるよ」
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「海くんが遊んでくれるなら」
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海人は少し照れながら笑う。
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「当たり前だろ」
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その一言が嬉しくて、
茉白も小さく笑った。
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夕日が二人の影を長く伸ばしていく。
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三年生まで、あと少し。
二人はまだ知らない。
この何気ない毎日が、
いつか大切な思い出になることを。




