初雪
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冬。
朝、カーテンを開けると、町はうっすら白く染まっていた。
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「雪だ!」
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海人は急いで支度をして家を飛び出す。
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学校へ着くと、校庭は子どもたちでいっぱいだった。
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「雪合戦しよう!」
「雪だるま作ろう!」
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あちこちで楽しそうな声が響く。
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海人も校庭へ走り出そうとした、その時。
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「海くん」
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振り向く。
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茉白だった。
マフラーに顔をうずめながら、小さく笑っている。
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「おはよう」
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「おはよう!」
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二人は並んで校庭へ向かった。
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「雪、積もったね」
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「こんなに降ると思わなかった」
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海人は雪を丸める。
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「ほら」
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小さな雪玉を作って茉白へ見せる。
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「かわいい」
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茉白も雪を丸め始めた。
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しばらくすると、
二人は小さな雪だるまを作り始める。
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「目はこれ」
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どんぐりを置く。
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「口は葉っぱかな」
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「いいな、それ」
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少しずつ形になっていく雪だるま。
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「できた!」
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二人は顔を見合わせて笑う。
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その時。
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「きゃっ!」
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茉白が足を滑らせる。
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雪の上でバランスを崩いた。
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「茉白!」
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海人はとっさに腕をつかむ。
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転ぶ寸前で支えられた。
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「……大丈夫か?」
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「う、うん」
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少しだけ距離が近い。
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お互いに気づいて、
同時に離れる。
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「ありがとう」
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「気をつけろよ」
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海人は少し照れながら笑う。
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授業が終わり、
帰る時間。
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外はまだ冷えていた。
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「寒い?」
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海人が聞く。
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「ちょっとだけ」
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茉白は手を息で温める。
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海人は少し考えて、
自分の手袋を片方だけ外した。
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「ほら」
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「え?」
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「右だけ貸す」
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茉白は目を丸くする。
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「海くんは?」
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「左あるし」
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少し照れたように笑う。
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「……ありがとう」
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茉白は大切そうに手袋をはめた。
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少し大きくて、
ぶかぶかだった。
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「大きい」
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「そりゃ俺のだからな」
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二人は笑いながら帰り道を歩く。
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冷たい冬の日。
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でも、
二人の間だけは、
少しだけ温かかった。




