思い出の一枚
⸻
秋。
校庭の木々も少しずつ色づき始めていた。
⸻
朝。
先生が教室で声をかける。
⸻
「今日はクラス写真を撮ります!」
⸻
「やったー!」
⸻
子どもたちは嬉しそうに外へ出ていく。
⸻
校庭には撮影用のひな壇が用意されていた。
⸻
「背の高い人は後ろねー!」
⸻
先生が並ぶ場所を決めていく。
⸻
海人は後ろの列。
⸻
「茉白さんは前ね」
⸻
茉白は前の列へ。
⸻
「海くん、遠いね」
⸻
「写真だからしょうがねぇよ」
⸻
海人は笑う。
⸻
撮影が始まる。
⸻
「はい、こっち見てー!」
⸻
その時。
⸻
「海人くん!」
⸻
先生に呼ばれる。
⸻
「もう少し右!」
⸻
海人が一歩動く。
⸻
すると偶然、
茉白の真後ろになった。
⸻
「そこで大丈夫!」
⸻
「はい、笑って!」
⸻
パシャッ。
⸻
シャッターの音が響く。
⸻
撮影はあっという間に終わった。
⸻
「終わったー!」
⸻
子どもたちは元気よく教室へ戻る。
⸻
帰り道。
⸻
「海くん」
⸻
「ん?」
⸻
「写真、どんなふうに写ってるかな」
⸻
「変な顔してなきゃいいけど」
⸻
「ふふっ」
⸻
茉白が笑う。
⸻
数週間後。
⸻
写真が配られた。
⸻
「できたよー!」
⸻
みんなが写真を受け取る。
⸻
茉白もそっと写真を見る。
⸻
「あ」
⸻
自分のすぐ後ろには、
海人が笑って写っていた。
⸻
「海くん」
⸻
思わず笑顔になる。
⸻
その頃、
海人も写真を見ていた。
⸻
(……近い)
⸻
偶然とはいえ、
茉白がすぐ前に写っている。
⸻
「よかった」
⸻
小さくつぶやく。
⸻
その様子を友達が見つける。
⸻
「海人、写真ばっか見てるじゃん」
⸻
「べ、別に!」
⸻
慌ててランドセルへしまう。
⸻
放課後。
⸻
「海くん!」
⸻
茉白が写真を持って駆け寄る。
⸻
「見て!」
⸻
「俺も見た」
⸻
二人で写真を見比べる。
⸻
「ちゃんと笑ってるね」
⸻
「うん」
⸻
「よかった」
⸻
茉白は嬉しそうに笑う。
⸻
海人も自然と笑顔になる。
⸻
一枚の写真。
⸻
そこには、
まだ幼い二人の笑顔が並んでいた。
⸻
何気ない学校生活の一枚。
⸻
でもそれは、
何年たっても大切に残る、
かけがえのない思い出になっていくのだった。




