迷子の子
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休日。
海人と茉白は約束をして、公園へ遊びに来ていた。
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「今日は何して遊ぶ?」
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「鬼ごっこ!」
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「また?」
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「いいじゃん!」
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二人は笑いながら走り出す。
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しばらく遊んでいると、
どこからか小さな泣き声が聞こえた。
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「うぅ……」
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「……?」
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海人と茉白は顔を見合わせる。
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声のする方へ行くと、
小さな男の子が一人で泣いていた。
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「どうしたの?」
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茉白がしゃがんで優しく聞く。
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「お、おかあさんが……いない……」
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涙をぬぐいながら話す男の子。
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海人は周りを見回した。
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「はぐれたのか」
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茉白は男の子の目線までしゃがみ、
にこっと笑う。
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「大丈夫だよ」
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「一緒に探そう?」
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男の子は小さくうなずいた。
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海人は近くの案内板を見る。
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「公園のおじさんのところ行こう」
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「うん」
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三人で管理事務所へ向かう。
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途中、
男の子が転びそうになる。
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「危ねっ」
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海人がすぐに手をつかむ。
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「大丈夫か?」
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男の子はこくりとうなずいた。
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管理事務所へ着くと、
係の人が放送を流してくれた。
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「○○くんのお母さま、お子さまがお待ちです──」
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数分後。
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「○○!」
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遠くから女性が走ってくる。
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「おかあさん!」
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男の子は嬉しそうに駆け出した。
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ぎゅっと抱きしめられる。
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「よかった……」
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お母さんは何度も頭を下げた。
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「ありがとうございました」
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海人は少し照れくさそうに笑う。
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「別に」
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茉白も笑顔で手を振る。
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「バイバイ」
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男の子も元気よく手を振り返した。
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帰り道。
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「海くん」
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「ん?」
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「さっき、すぐ手をつないであげてたね」
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海人は少し照れる。
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「転びそうだったから」
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「海くんらしいね」
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茉白は優しく笑った。
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「……そうか?」
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「うん」
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「やっぱり優しい」
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海人は少しだけ顔を赤くしながら前を向く。
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「茉白だって」
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「え?」
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「あんなふうに話しかけてもらったら、安心するだろ」
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茉白は照れながら笑った。
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「ありがとう」
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「お互いさま」
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二人は笑い合いながら歩き出す。
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困っている人を助けたい。
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その気持ちは、
二人とも同じだった。
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だからこそ、
一緒にいると自然に力を合わせられる。
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そんなことに、
まだ二人は気づいていなかった。




