二人ってさ
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小学二年生になってから、
海人と茉白は自然と一緒にいる時間が増えていた。
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休み時間。
「海くん!」
「ん?」
「昨日の宿題、ここ分かった?」
「そこ? こうだろ」
二人は机を並べて話していた。
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「なるほど!」
「ありがとう」
「いいよ」
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そのやり取りを、
近くのクラスメイトが見ていた。
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「ねえ」
「ん?」
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「あの二人ってさ」
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「最近、いつも一緒じゃない?」
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別の子もうなずく。
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「確かに」
「休み時間もよく話してるよね」
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「仲いいよねー」
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その言葉が、
ちょうど海人の耳に入った。
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「は?」
思わず振り向く。
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「別に普通だし」
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少し強めに言う。
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すると今度は、
茉白も振り返る。
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「そうだよ」
「海くんとは普通に話してるだけ」
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「ふーん?」
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友達は意味ありげに笑う。
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「じゃあなんでいつも一緒なの?」
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「え……」
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茉白が言葉に詰まる。
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海人も答えられない。
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「たまたまだ!」
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「そうそう!」
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二人の声がぴったり重なる。
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教室に笑い声が広がった。
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「また同じこと言ってる!」
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「息ぴったりじゃん!」
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「ち、違う!」
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海人は耳まで赤くなる。
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茉白も恥ずかしくなって下を向いた。
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昼休み。
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「なんか今日、大変だったね」
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校庭のベンチで茉白が笑う。
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「……あいつら余計なこと言うし」
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海人は少し不満そうだった。
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「でも」
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茉白は小さく笑う。
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「仲良しって思われるのは、嫌じゃないよ」
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その一言に、
海人は少し驚く。
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「……そうか?」
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「うん」
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「海くんといると楽しいし」
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海人は照れくさそうに頭をかいた。
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「俺も」
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その言葉に、
今度は茉白が照れる番だった。
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遠くから二人を見ていた友達が、
また小声で話す。
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「やっぱり仲いいよね」
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「うん」
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「なんか見てると微笑ましい」
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まだ誰も、
“恋”だとは思っていない。
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でも、
クラスのみんなの中では、
海人と茉白は
「いつも一緒の二人」
として、少しずつ知られるようになっていた。




