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進級、新しい教室


春。


校庭の桜が、やさしい風に揺れていた。


今日から小学二年生。


少しだけ大きくなったランドセルを背負って、海人は校門をくぐる。


「二年生か!」


去年より少しだけ背が伸びて、どこか頼もしく見える。


教室へ向かいながら、海人は一つだけ気になっていることがあった。


(茉白、同じクラスかな)


教室の前には、新しいクラス名簿が貼られている。


子どもたちが集まっていた。


「やったー!」


「また一緒だ!」


あちこちで声が上がる。


海人も自分の名前を探した。


「あった!」


そのすぐ下へ視線を動かす。


(……あ)


「茉白」


同じ名簿に名前があった。


思わず笑みがこぼれる。


「よかった」


小さくつぶやきながら教室へ入る。



一方、その頃。


茉白も名簿を見つめていた。


(海くん……)


少し緊張しながら名前を探す。


「あっ」


海人の名前を見つけた。


同じクラス。


胸の奥がふわっと温かくなる。


「また一年、一緒だ」


小さく笑って教室へ入った。



教室では、新しい席に座る子どもたち。


海人は窓側の後ろから二番目。


茉白は中央の前から三番目。


席は少し離れていた。


「海くん」


教室へ入ってきた茉白が笑顔で声をかける。


「おはよう」


海人も笑い返す。


「おはよう、茉白」


去年のようなぎこちなさは、もうない。


自然に笑い合えるようになっていた。


「また同じクラスだね」


「うん」


短いやり取り。


それだけなのに、二人とも嬉しそうだった。



先生が教室へ入ってくる。


「今日から一年間、よろしくお願いします!」


「よろしくお願いします!」


元気な声が教室に響く。


新しい一年。


新しい思い出。


でも、一つだけ去年と変わらないことがある。


それは――


二人が、お互いの隣にいるだけで笑顔になれることだった。


教室の窓から、春の風がそっと吹き込んできた。


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