夏休みの約束
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夏休み。
青空には大きな入道雲が浮かび、
蝉の鳴き声が町中に響いていた。
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午前中。
茉白は近所の公園へやって来た。
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「誰かいるかな」
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辺りを見回す。
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「あっ」
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ブランコの近くで、
海人が友達と虫取り網を持って走り回っていた。
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「海くん」
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声をかけると、
海人が振り返る。
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「あ、茉白!」
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自然と笑顔になる二人。
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「遊びに来たの?」
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「うん」
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海人は友達の方を見る。
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「ちょっと待ってて!」
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そう言って茉白のところへ駆け寄る。
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「昨日ぶりだな」
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「うん」
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少しだけ照れながら笑う。
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夏祭りの日のことは、
お互い口にはしない。
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でも、
会えたことが嬉しかった。
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その時、
友達が海人を呼ぶ。
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「海人ー!」
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「カブトムシ探し行くぞ!」
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「おう!」
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返事をした海人だったが、
少しだけ茉白を見る。
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「茉白も来る?」
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突然の誘い。
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茉白は少し驚く。
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「いいの?」
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「もちろん!」
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その一言が、
とても嬉しかった。
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「じゃあ、行く」
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三人で公園の奥へ向かう。
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木の下を探したり、
セミを見つけたり、
笑い声が絶えない。
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しばらくすると、
友達がお母さんに呼ばれて帰ることになった。
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「またな!」
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「またね!」
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公園には、
海人と茉白だけが残った。
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少しだけ静かな時間。
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「今日は楽しかった」
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茉白がぽつりと言う。
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「俺も」
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海人は笑った。
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そして、
少し照れながら口を開く。
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「また遊ぼうぜ」
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その言葉に、
茉白は目を丸くする。
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「……うん!」
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今まで偶然会うことはあった。
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でも、
「また遊ぼう」と約束したのは、
今日が初めてだった。
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「今度は虫取りじゃなくてもいいし」
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「じゃあ、公園で遊ぼう」
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「決まり!」
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二人は笑い合う。
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夕方の風が、
木々を優しく揺らした。
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帰り道。
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「またね、海くん」
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「またな、茉白」
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二人は手を振る。
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今度は、
偶然会えることを願うのではなく、
また会う約束がある。
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それだけで、
夏休みが少しだけ楽しみになった。




