表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
38/150

はじめての遠足


春も終わりに近づいた頃。


先生が教室で笑顔を見せる。



「来週は遠足です!」



「やったー!」


教室が一気に賑やかになる。



「おやつ持ってきていい?」


「お弁当楽しみ!」



海人も友達と盛り上がっていた。



でも。



(茉白は)



自然と視線が動く。



茉白は友達と小さく笑いながら話していた。



(楽しそうだな)



その笑顔を見ると、


海人も少し嬉しくなる。



遠足当日


空は快晴。


子どもたちはランドセルではなく、小さなリュックを背負って集まっていた。



「出発するよー!」



みんなで歩き始める。



先生が列を作る。



「二人ずつ並んでね」



海人は友達と並ぶ。



茉白も友達と並ぶ。



少し離れた列。



(遠い)



海人は少しだけ残念そうな顔をする。



目的地に着くと、


先生が言った。



「今から自由時間です!」



「やったー!」



みんな一斉に走り出す。



海人も友達に誘われる。



「海人!鬼ごっこ!」



「おう!」



走り出そうとした、その時。



「あっ……」



小さな声。



見ると、


茉白が転びそうになっていた。



木の根につまずいたらしい。



海人は考えるより先に動いた。



「茉白!」



腕をつかむ。



転ぶ寸前で体を支える。



「大丈夫か?」



「……うん」



茉白は少し驚いた顔をしていた。



「ありがとう」



海人は少し照れて、


頭をかく。



「別に」



またぶっきらぼう。



その様子を見ていた友達が笑う。



「海人、優しいじゃん!」



「ち、違うし!」



慌てて否定する。



茉白はそのやり取りを見て、


少しだけ笑った。



(海くんらしい)



そう思う。



その日の帰り道。



茉白は今日のことを思い出していた。



(また助けてもらった)



保育園の頃も。


小学校に入ってからも。



困った時。


危ない時。



気づくと、


海くんが近くにいる。



(なんでだろ)



胸が少しだけあたたかくなる。



一方、海人。



(また勝手に動いた)



守ろうなんて考えていなかった。



体が先に動いていた。



(……まあ、いいか)



茉白が笑っていた。



それだけで、


今日の遠足は楽しかった。



夕焼けに染まる帰り道。



二人は少し離れて歩いていた。



でも。



心の距離は、


昨日よりほんの少しだけ近づいていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ