なんとなく
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休み時間。
教室はいつものように賑やかだった。
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「海人くん!」
同じ班の女の子が手を振る。
「これ、一緒に折ろう!」
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「いいよ!」
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海人は椅子を持って近くへ行く。
折り紙を折りながら笑っていた。
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窓際。
茉白は本を読んでいた。
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ページをめくろうとして、
ふと視線が動く。
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(海くん)
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楽しそうに笑っている。
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(……楽しそう)
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ただ、それだけ。
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本に目を戻す。
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……戻したはずなのに。
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また見てしまう。
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「茉白ちゃん」
友達が話しかける。
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「聞いてる?」
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「あ、ごめん」
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少しだけぼんやりしていた。
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(なんだろ)
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今日は、
海くんの方ばかり見てしまう。
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理由は分からない。
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その頃。
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海人も折り紙を折りながら、
ちらっと窓際を見る。
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(茉白)
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今度は男の子と話していた。
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教科書を見せ合って、
何か笑っている。
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(……ふーん)
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そう思って、
折り紙に戻る。
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でも。
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数秒後。
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また見てしまう。
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(……まだ話してる)
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気になって仕方がない。
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「海人くん?」
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「え?」
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「折り方違うよ」
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見ると、
折り紙がぐしゃぐしゃになっていた。
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「あ……」
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周りの子が笑う。
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海人も照れ笑いをした。
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でも。
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頭の中には、
さっきの茉白の笑顔が残っていた。
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帰りの会。
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先生が明日の予定を話している。
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海人は前を向いていた。
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茉白は少し後ろの席。
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なんとなく、
振り返りたくなる。
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でも我慢する。
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(見んな)
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そう思う。
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三秒後。
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ちらっ。
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見てしまった。
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その瞬間。
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茉白も同じタイミングで海人を見ていた。
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「あ」
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一瞬だけ目が合う。
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二人とも少し驚く。
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そして。
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ふっと笑う。
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また前を向く。
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それだけ。
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それだけなのに、
なんだか少し嬉しかった。
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二人ともまだ、
「好き」とは言わない。
でも、
一日の終わりに、
自然とお互いを探してしまう。
そんな毎日が、
少しずつ当たり前になっていった。




