表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
25/150

特別に変わった瞬間


放課後前の、少し静かな時間。


みんながそれぞれ遊んでいて、


教室の中はいつもより落ち着いていた。



茉白は窓際に立って、外を見ていた。


ぼーっと。


特に何か考えてるわけでもないのに——



(……また)



気づく。



視線。



振り向かなくても分かる。



(いる)



海人。



ゆっくり振り向く。


やっぱり目が合う。



一瞬。



でも今日は——


逸らされない。



「……なに」


いつも通りに聞く。


でも少しだけ、声がやわらかい。



「……いや」


海人は少し迷って、


でも逸らさない。



「別に」



短い会話。


それだけ。



なのに。



(なんでだろ)



前と違う。



目が合う時間が長いだけで、


なんか変。



心臓が、少しだけうるさい。



(……なんで)



少し前のことを思い出す。



何回も見てくる


変な話し方


避けるくせに、近くに来る


さっきの、目



(……あ)



ゆっくり、理解が追いつく。



(わたし)



視線の先。


海人。



(この人のこと、)



言葉になる。


まだ小さいけど、


ちゃんと形になる。



(気になる)



その瞬間。


少しだけ息を止める。



理由は分からない。


でも——



ただの“変なやつ”じゃなくなった。



ちゃんと、意識してる。



海人が少しだけ近づく。


ぎこちないまま。



「……おまえさ」



その言い方に、


少しだけ引っかかる。



(……あ)



今まで気にしてなかったのに、


急に気になる。



呼び方。


距離。



茉白は少しだけ迷って、


ほんの一瞬だけ間を置く。



そして——



「なに、海くん」



言ってから、


自分で少し驚く。



(……あ)



なんで今、


くん、つけた?



でも、取り消さない。



海人の方は——


完全に固まる。



「……は?」



一拍遅れて、


一気に顔が赤くなる。



「なんだよそれ」



でも否定じゃない。


ただの動揺。



「べつに」


茉白は少しだけ目を逸らす。



「なんか、そういう気分だっただけ」



嘘じゃない。


でも全部でもない。



(……なんか変)



さっきまでと、


同じはずなのに。



少しだけ距離が変わった気がする。



名前の呼び方、ひとつで。



でもその変化を、


まだちゃんと説明できない。



ただひとつ分かるのは——



もう、


前と同じ関係じゃないってこと。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ