風邪からの復帰回
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風邪から復帰して数日後。
外遊びの時間。
茉白は友達と話しながら園庭を歩いていた。
熱は下がった。
もう元気。
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「茉白ちゃん、もう大丈夫?」
「うん」
「よかったー!」
友達が笑う。
茉白も少し笑った。
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その様子を。
少し離れた場所から海人が見ていた。
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(元気そうだな)
ほっとする。
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でも。
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(なんか話しかけづれぇ)
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好きだと気づいてから、
前みたいに自然に近づけない。
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「海人ー!」
友達に呼ばれる。
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「おう!」
返事をする。
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でも。
視線だけは、
つい茉白の方へ向く。
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その時。
茉白が海人に気づく。
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「あ、海人」
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普通に手を振る。
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海人の心臓が跳ねる。
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(うわ)
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今までなら、
「あー」
くらいで済んでいた。
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でも今は違う。
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「……おう」
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変に短い返事になる。
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茉白は首をかしげた。
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「どうしたの?」
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「なにが」
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「なんか変」
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また言われた。
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海人は少し顔をしかめる。
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「変じゃねーし」
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「変だよ」
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即答。
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茉白は真面目な顔で言う。
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「最近ちょっと変」
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海人は返事に困る。
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だって。
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原因は茉白本人だから。
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言えるわけがない。
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「知らね」
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そう言って逃げるように走り出す。
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「海人?」
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後ろから呼ばれる。
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でも振り返れない。
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顔が熱い。
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(無理だろ……)
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好きな子に、
「最近変」
と言われるのは。
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海人には、
なかなか難易度が高かった。
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一方の茉白は。
走っていく背中を見ながら、
ぽつりと思う。
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「やっぱり変」
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でも。
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その背中を見ている時間が、
前より少し長くなっていることには、
まだ気づいていなかった。
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