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知らない花

■露真の部屋(小3・冬)



静かな夜。



机の上に教科書。



「……めんど」



ぽつり。



でもちゃんと座る。



(やるか)



ノートを開いて、


鉛筆を持つ。



少しだけ進めて——



「……あ」



消しゴムがない。




「どこやった」




机の引き出しを開ける。




中を漁る。




そのとき。




「……なんだこれ」




手が止まる。




引き出しの奥。




白い、小さな花。




シロツメクサ。




少しだけ乾いてる。




(なんでこんなの入ってんだ)




眉をひそめる。




「……」




指でつまむ。




軽い。




でも——




(……なんか)




一瞬だけ、



胸の奥が引っかかる。




「……」




理由はわからない。




記憶もない。




でも、




ほんの少しだけ、



違和感。




「……まあいいや」




ぽつり。




そのまま、



引き出しに戻す。




バタン。




閉める。




(どうでもいい)




そう思うのに、




さっきの感覚だけ、



少し残る。




「……やめた」




勉強の手が止まる。




(集中できねぇ)




椅子から立ち上がる。




「ちょっと息抜き」




自分に言うみたいに。




ドアを開ける。




部屋を出る。




廊下。




静か。




(……なんなんだよ)




頭の中に、



さっきの白い花が残る。




でも。




(別に関係ねぇし)




振り払う。




でも——




完全には、



消えない。



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