表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/20

空回り




次の日。


朝からいつも通り、元気な声が教室に響く。


「おはよー!」


海人は勢いよく入ってくる。


友達とすぐに話し始めるけど——


(……いる)


視線だけが、自然と探す。


いた。


窓際の方。


茉白は友達と話して、普通に笑ってる。


(……ふーん)


なぜか、それを見て少し安心する。


理由は分からないけど。



(……昨日のやつ)


「なんで見てんの」


思い出して、少しだけ顔が熱くなる。


(いや別に、なんでもねーし)


心の中で言い訳。


でも——


(……なんか話すか)


ふと思う。


昨日あんな感じで終わったの、なんか気になる。



休み時間。


タイミングを見て、近づく。


でも——


(なに言えばいいんだよ)


足が止まる。


頭の中、真っ白。



(とりあえず…)


「おい」


ちょっと強めに声をかける。


本当は普通に呼びたいのに、変に雑になる。



茉白が振り向く。


「なに」


いつも通りのトーン。


特別でもなんでもない。


それが逆に、ちょっと緊張する。



「……その」


(やばい、続かねぇ)


思いついた言葉が、変な方向にいく。


「おまえさ」


「うん」


「……昨日、ひとりで遊んでただろ」


(なんでそれ言った??)


自分で言って後悔する。



茉白は少し考えて、


「遊んでたけど?」


普通に返す。



「なんで混ざんねーの」


(いや責めてるみたいになってるし)


言い方が雑。


でも止められない。



茉白は少しだけ眉を動かす。


「べつに」


「ひとりでも楽しいし」


あっさり。


強がりでもなんでもない、本音。



(……あ)


その感じに、一瞬だけ言葉が詰まる。



本当は、


「一緒に遊べばいいじゃん」とか


「こっち来ればいいのに」とか


言いたかったのに。



出てきた言葉は——


「……ふーん」


だけ。



沈黙。


気まずい。



(やべ、終わった)


そう思ってると——


「海人ってさ」


茉白がぽつりと言う。



「なに」


少し身構える。



「変だよね」


真顔。



「は!?」


思わず声が出る。



「だってさ」


「なんか言いたいことあるのに、違うこと言ってる感じ」


まっすぐ。


遠慮なし。



(ぐさっ)


図星。


でも自覚はない。



「そ、そんなことねぇし!」


またムキになる。


耳が赤い。



「そう?」


首をかしげる茉白。


「じゃあいいけど」


あっさり引く。



(なんなんだよ…)


うまくいかない。


話したかっただけなのに。


なんか全部ズレる。



でも。


(……嫌じゃねぇな)


不思議と。


変なこと言われても、


うまくいかなくても、


話したこと自体は——


ちょっとだけ、嬉しかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ