空回り
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次の日。
朝からいつも通り、元気な声が教室に響く。
「おはよー!」
海人は勢いよく入ってくる。
友達とすぐに話し始めるけど——
(……いる)
視線だけが、自然と探す。
いた。
窓際の方。
茉白は友達と話して、普通に笑ってる。
(……ふーん)
なぜか、それを見て少し安心する。
理由は分からないけど。
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(……昨日のやつ)
「なんで見てんの」
思い出して、少しだけ顔が熱くなる。
(いや別に、なんでもねーし)
心の中で言い訳。
でも——
(……なんか話すか)
ふと思う。
昨日あんな感じで終わったの、なんか気になる。
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休み時間。
タイミングを見て、近づく。
でも——
(なに言えばいいんだよ)
足が止まる。
頭の中、真っ白。
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(とりあえず…)
「おい」
ちょっと強めに声をかける。
本当は普通に呼びたいのに、変に雑になる。
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茉白が振り向く。
「なに」
いつも通りのトーン。
特別でもなんでもない。
それが逆に、ちょっと緊張する。
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「……その」
(やばい、続かねぇ)
思いついた言葉が、変な方向にいく。
「おまえさ」
「うん」
「……昨日、ひとりで遊んでただろ」
(なんでそれ言った??)
自分で言って後悔する。
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茉白は少し考えて、
「遊んでたけど?」
普通に返す。
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「なんで混ざんねーの」
(いや責めてるみたいになってるし)
言い方が雑。
でも止められない。
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茉白は少しだけ眉を動かす。
「べつに」
「ひとりでも楽しいし」
あっさり。
強がりでもなんでもない、本音。
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(……あ)
その感じに、一瞬だけ言葉が詰まる。
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本当は、
「一緒に遊べばいいじゃん」とか
「こっち来ればいいのに」とか
言いたかったのに。
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出てきた言葉は——
「……ふーん」
だけ。
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沈黙。
気まずい。
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(やべ、終わった)
そう思ってると——
「海人ってさ」
茉白がぽつりと言う。
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「なに」
少し身構える。
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「変だよね」
真顔。
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「は!?」
思わず声が出る。
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「だってさ」
「なんか言いたいことあるのに、違うこと言ってる感じ」
まっすぐ。
遠慮なし。
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(ぐさっ)
図星。
でも自覚はない。
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「そ、そんなことねぇし!」
またムキになる。
耳が赤い。
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「そう?」
首をかしげる茉白。
「じゃあいいけど」
あっさり引く。
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(なんなんだよ…)
うまくいかない。
話したかっただけなのに。
なんか全部ズレる。
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でも。
(……嫌じゃねぇな)
不思議と。
変なこと言われても、
うまくいかなくても、
話したこと自体は——
ちょっとだけ、嬉しかった。
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