どんぐり探し
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秋。
放課後。
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空は高く澄み、
少しひんやりした風が吹いていた。
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「海くん」
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「ん?」
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「公園寄っていこう!」
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「また寄り道か」
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「だめ?」
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海人は少しため息をつく。
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「……少しだけな」
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「やった!」
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茉白は嬉しそうに笑った。
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いつもの公園へ向かう。
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木々の葉は赤や黄色に色づき、
足元にはたくさんの落ち葉が広がっていた。
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「わぁ!」
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茉白がしゃがみ込む。
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「見て!」
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「どんぐり!」
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茶色いどんぐりが、
あちこちに転がっている。
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「いっぱいある!」
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夢中になって拾い始める。
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「海くんも探そう!」
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「……なんで俺まで」
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そう言いながらも、
海人も近くを見回す。
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「これ丸くてかわいい」
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茉白は手のひらにどんぐりを並べる。
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「これは帽子ついてる!」
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一つ見つけるたびに嬉しそう。
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海人は少し離れた場所で探していた。
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「……あ」
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木の根元に、
ひときわ大きなどんぐりを見つける。
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「これ」
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拾い上げる。
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「海くん!」
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茉白が駆け寄る。
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「見て見て!」
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手のひらいっぱいのどんぐりを見せる。
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「こんなに集まった!」
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「……拾いすぎだろ」
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「えへへ」
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海人は手に持っていたどんぐりを見る。
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「ほら」
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茉白の前に差し出した。
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「え?」
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「これ」
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「一番でかかった」
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茉白は目を丸くする。
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「いいの?」
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「別に」
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「海くんが見つけたのに」
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「……お前の方が喜ぶだろ」
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ぶっきらぼうに言う。
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茉白は嬉しそうに受け取った。
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「ありがとう!」
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大きなどんぐりを、
宝物みたいに両手で包む。
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「これ、一番大事にする!」
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「そんな大げさな」
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海人は照れくさそうに笑う。
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その時。
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「きゃっ!」
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落ち葉に足を滑らせ、
茉白がふらつく。
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「おっと」
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海人がとっさに腕をつかむ。
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「大丈夫か?」
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「う、うん」
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少し照れながら笑う茉白。
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「また助けてもらっちゃった」
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「ちゃんと前見ろ」
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「はーい」
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腕を離す。
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少しだけ、
お互い照れくさい。
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帰り道。
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「今日楽しかったね」
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「……そうか?」
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「うん!」
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茉白は大きなどんぐりを見つめる。
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「これ見るたびに」
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「今日のこと思い出しそう」
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海人は少しだけ歩く速度を緩めた。
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「また来よう」
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思わず口から出る。
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「え?」
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海人は少し照れながら前を向く。
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「……どんぐり、また落ちてるだろ」
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茉白はふっと笑った。
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「うん!」
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「また一緒に探そうね」
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「……おう」
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秋風が吹き、
木々から新しいどんぐりが、
二人の足元へころんと転がってきた。




