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離すなよ


秋。


遠足の帰り道。


山道を歩いている。



「気をつけろよ」



「うん」



茉白が落ち葉を見ながら歩いている。



その時。



「あっ!」



小さな段差につまずく。



ぐらっ。



転びそうになった瞬間、



パシッ。



海人がとっさに茉白の手首をつかむ。



「危ねぇ!」



「……!」



二人とも固まる。



海人は無意識だった。



「大丈夫か?」



「……う、うん」



少しだけ顔が赤い茉白。



海人も手を離そうとして、



(……)



一瞬だけ止まる。



「……ほら」



慌てて手を離す。



「悪い」



「ううん」



二人とも少し照れてしまう。



歩き始める。



でも、


今度は茉白が少しだけ海人の制服の袖をつまむ。



「……?」



「また転びそうだから」



恥ずかしそうに笑う。



海人は少し照れながら、



「……好きにしろ」



とだけ答える。



帰り道、


茉白は袖をつまんだまま歩く。


海人は何も言わない。



(……まあ)



(これならいいか)



そんなふうに思う海人だった。


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