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■小3の秋



少し冷たい風。



「……涼しい」



「うん」



並んで歩く帰り道。



夏とは違う空気。



セミの声もなくて、


静か。




(……なんか)



海人、少しだけ思う。




(前より、近い)




でも、



(なんか話しづらい)




距離は近いのに、



前より意識してる。




■教室の中



休み時間。



茉白が窓際で髪を整えてる。



長い髪が、少し揺れる。




(……)



海人、また見てる。




(……やっぱ)




(似合ってる)




何回も思う。



でも——




「海くん?」




「……なに」




「また見てる」




「見てねぇし」




即否定。




(見てるだろ俺)




自分でツッコむ。




■小さな距離



「これ、プリント」




「ん」




渡すとき、




指が少し触れる。




一瞬。




「……」




「……」




どっちも何も言わない。




でも。




(……意識してる)




お互いに分かる。




■茉白の中



(……海くん)




夏のこと思い出す。



セミのとき。



手を引かれた祭り。




(……なんか)




前より、




ドキドキする。




(……好き)




はっきりしてる。




でも。




(言えない)




壊れそうで、




言えない。




■海人の中



(……なんだよこの感じ)




前より、




意識してる。




(近いのに遠い)




でも。




(……離したくねぇ)




その気持ちだけは、




どんどん強くなる。




■放課後



「海くん」




「なに」




「今日さ」




少し迷って、




「一緒に帰る?」





「……いつもだろ」




ぶっきらぼう。




でも。




「……そっか」




少しだけ笑う茉白。




(……なんだそれ)




いつもと同じはずなのに、




少しだけ、




特別に感じる。




■秋の空気



夕焼け。



少し冷たい風。




並んで歩く。




言葉は少ない。




でも。




“隣にいること”が、




前より重くなってる。


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