久しぶりの教室
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夏休みが終わり、
今日から二学期。
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朝。
校門にはたくさんの子どもたちが登校していた。
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「海くん!」
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後ろから聞き慣れた声。
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海人が振り向く。
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「おはよう」
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茉白が笑顔で手を振る。
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「……おう」
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海人も小さく手を上げる。
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「夏休み終わっちゃったね」
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「だな」
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「もっと遊びたかったな」
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「学校でも遊べるだろ」
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「うん!」
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二人は並んで昇降口へ向かった。
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教室。
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「おはよー!」
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「久しぶり!」
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教室は夏休みの思い出話でいっぱいだった。
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「海人!」
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男子が手を振る。
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「おう」
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「夏休み何してた?」
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「普通」
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「またそれかよ!」
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周りが笑う。
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すると別の男子が、
海人と茉白を見比べた。
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「そういえばさ」
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「お前ら」
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「夏休みも一緒に遊んでたんだろ?」
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教室が少し静かになる。
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「……は?」
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海人が顔を上げる。
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「プール行ったって聞いた!」
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「虫取りもしたんだろ?」
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「花火も?」
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「宿題も一緒にやったって!」
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「仲良すぎじゃね?」
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「また付き合ってるんじゃねーの?」
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「違ぇよ!!」
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海人が勢いよく立ち上がる。
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「違うよ!!」
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茉白も同時に立ち上がった。
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教室が一瞬静まる。
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「……」
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「……」
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二人は顔を見合わせる。
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また同じタイミングだった。
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「ほら!」
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「また一緒!」
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「息ぴったり!」
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「だから違うって!」
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「付き合ってないよ!」
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二人とも真っ赤な顔で必死に否定する。
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その様子に、
教室中が笑いに包まれた。
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「はいはい!」
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先生が教室へ入ってくる。
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「席に着いてー」
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みんなが慌てて席へ戻る。
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海人も席へ座る。
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ちらっと茉白を見る。
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茉白も同じようにこちらを見ていた。
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目が合う。
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「……」
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「……」
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二人とも少しだけ照れて、
すぐに目を逸らした。
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始業式が終わり、
放課後。
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「海くん」
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「ん?」
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「今日も言われちゃったね」
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「……だな」
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海人は少しため息をつく。
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「なんであんなこと言うんだろ」
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「知らねぇ」
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「わたしたち」
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茉白が少し笑う。
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「ただ仲がいいだけなのにね」
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「……そうだな」
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海人は短く答える。
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でも心の中では、
少しだけ引っかかっていた。
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(……ただ仲がいいだけ)
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その言葉を、
何度も繰り返す。
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隣を歩く茉白を見る。
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夏休みの間に少し伸びた髪。
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変わらない笑顔。
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(……)
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「海くん?」
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「……なんでもねぇ」
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いつもの返事。
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でも、
その「なんでもない」は、
少しずつ増えていく想いを隠すための言葉だった。
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二学期が始まった。
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新しい季節も、
二人は変わらず並んで歩いていく。




