表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
110/150

虫取り大作戦


夏休み。


朝から強い日差しが照りつけていた。



「海くーん!」



公園の入口で茉白が手を振る。



「遅い」



「ごめん、ごめん!」



茉白は笑いながら駆け寄る。



今日は海人と虫取りをする約束の日だった。



海人の手には虫取り網。


反対の手には虫かご。



「行くぞ」



「うん!」



二人は公園の奥へ入っていく。



「セミいるかな?」



「朝だからいるだろ」



「カブトムシは?」



「昼はあんまりいねぇ」



「海くん詳しいね」



「普通」



「また普通って言った」



茉白が笑う。



木々の間を歩いていく。



ジジジジジ……



セミの鳴き声が響く。



「いた!」



茉白が木を指差す。



「ほんとだ!」



高いところにアブラゼミが止まっていた。



「海くん!」



「お願い!」



海人は静かに近づく。



ゆっくり。



ゆっくり。



網を持ち上げる。



「……今」



パサッ!



「やった!」



セミが網の中に入った。



「すごーい!」



茉白は目を輝かせる。



「海くんすごい!」



「これくらい普通」



照れ隠しのように答える。



「かっこいい!」



その一言で、


海人は少しだけ固まる。



「……うるせぇ」



耳が少し赤い。



「ふふっ」



茉白は嬉しそうに笑った。



その後。



「わっ!」



茉白の目の前を大きなトンボが飛ぶ。



「待ってー!」



追いかける。



でも。



「きゃっ!」



木の根につまずきそうになる。



「危ねぇ!」



海人が腕をつかえる。



「大丈夫か?」



「う、うん!」



少し恥ずかしそうに笑う茉白。



「ありがとう」



「ちゃんと前見ろ」



「はーい」



二人はまた歩き始める。



その時。



「見て!」



茉白が木を指差した。



「これ何?」



木に残っていた、


セミの抜け殻。



「抜け殻だ」



「初めて見た!」



「持ってみる?」



「えっ」



少し迷う。



「……やっぱいい」



海人が笑う。



「虫は平気なのに?」



「抜け殻はなんか違う!」



「なんだそれ」



二人で笑い合う。



帰る頃には、


虫かごの中にはセミが一匹。



「今日は大成功だね」



「まあな」



「楽しかった!」



「……俺も」



海人は小さくつぶやく。



「え?」



「なんでもねぇ」



また照れ隠し。



夕日に染まる帰り道。



虫かごを仲良くのぞき込みながら、


二人はゆっくり歩いて帰った。



夏の思い出が、


また一つ増えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ